アンドロメダは遠すぎた

船越麻央

アンドロメダ銀河からの帰還

 ようやく帰って来た。

 長い旅だった。

 満身創痍である。

 片道二百三十万光年、往復四百六十万光年。

 我が故郷、天の川銀河。

 目指すは銀河連邦首都。

 アンドロメダ銀河での探査を終え膨大なデータを集積した。

 残念ながら亜空間通信システムの故障で通信は途絶えている。

 しかし信号は送り続けている。

 天の川銀河の姿が大きくなってきた。

 間もなく最後の長距離ワープである。


 アンドロメダ銀河探査機、レッドファントムが遂に帰って来た。兄弟機のブラックファントムと共に銀河連邦政府がアンドロメダ銀河に向けて送り出してから、どれほどの時が経ったであろうか。


 科学の粋を集めた銀河間無人探査機。科学者の期待通りに、二機ともアンドロメダ銀河にたどり着いた。二百三十万光年という気の遠くなるような空間を旅して目標に到達した。

 レッドファントムとブラックファントム。同一性能のいわば双子機だが、リスクを避けるため別々のルートで旅をした。

 二機とも苦難の連続であった。システムの故障やエネルギーの不足。そのたびに探査機管理AIは独力で克服した。

 そして長距離ワープを繰り返し、アンドロメダ銀河のそれぞれの目標エリアに到着したのである。


 設定エリア内の探査ミッションを黙々とこなし、ようやく天の川銀河への帰途についたのはまずレッドファントムであった。続いてブラックファントムも。

 再び長い旅となった。何としても集めたデータを銀河連邦政府に届ける。二機は最後の力を振り絞った……。


 間違いなく銀河連邦首都のはずだ。

 通常通信システムに応答がない。 

 それに……惑星上に生命反応がない。

 都市は廃墟と化している。

 いったいどうしたと言うのだ。

 ようやく故郷に帰って来たというのに。

 アンドロメダ銀河の知的生命体のデータは必ず役に立つはずだ。

 それにこれからブラックファントムも帰還することになっている。

 どうしたら、どうしたらいいのか。

 創造主よ! 答えてくれ!


 了

 

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