第4話

※奈々視点


 私はメロンソーダで口を潤してから語り始めた。


「初めて会ったのは私がまだ小学校4年生の時でした。」


 最初にあきくんと出会ったのは母親の再婚相手を紹介された時だった。

私の新しいお父さんの名前は白井しらい鉄也てつやさん。

あきくんは鉄也さんの一人息子で私よりも一つ年上のお兄ちゃんだった。

初めて出会った時はとても緊張したが、鉄也さんもあきくんも優しくてすぐに打ち解けることができた。

私はこんな日常がずっと続けばいいなと思っていた。

出会ってまだ2週間も経って無かっただろうか。

私たちは一家で海に行くことになった。

砂のお城を作ったり、ビーチバレーをしたりして1日を満喫した。

だがその帰りでソレは起きた。


交通事故。


対向車線から来ていた車の運転手が飲酒をしていたらしい。

時速60キロの車同士の衝突事故。

すぐに近くに住んでいた方々や他の車に乗っていた方々が警察、救急と連絡してくれ、事態は大きくならずに済んだ。

しかし世界とは残酷なものであった。

被害が酷かった前の席に座っていた両親は即死。

あきくんも意識不明の重体だった。

幸い、衝突した部分から一番離れていた私だけが軽傷で済んだのだ。

相手も重傷を負っていて、数日後にお亡くなりになられたと伝えられた。

私は近くに住んでいた親戚に引き取られた。

あきくんとはそのまま会えていなかったのだが…。


「まぁそんな感じっスよ。」


※麗奈視点


「へぇー。あんたらにそんな過去があったなんてね。」


内心驚いた。

だって彰人全くそういうこと言って来なかったし…。


「彰人先輩とは私が直接話をつけようと思うんで、まだ言わないでおいてもらえるっスか?」


「おっけー。ちなみに翔真には言っても大丈夫な感じ?」


LINNで翔真にメッセージを送ろうとしたが、ここは確認しておかないといけない。


「あ、それは大丈夫っスよ。あの先輩絶対口硬いでしょうし。」


「まーねw」


口が硬いってよりかはコミュ障なんだよね、翔真。

まぁそういうところm…


「では麗奈先輩のストーリーをどうぞ!」


「へ?」


急にそう言われて私の口からなんともマヌケな声が漏れる。


「いやー!私も言ったっスから麗奈先輩も言わないとWin-Winじゃないっスよね?(ニヤリ)」


「あんた…」


出来た後輩だな…。(笑)


不覚にもそう思ってしまった。

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