僕の結婚

到達者師失人

第1話

僕の結婚


僕はこの国に古来より高い影響力を持つとある名家の次男坊として生まれ落ちた。

 幼少のころより家を継ぐべく英才教育としてさまざまな習い事をされる実の兄のしり目に、僕は基本的な教育しか受けてこなかった。

 それに気づいた幼い僕は、両親に期待されてないのではないかと思い始めた頃生まれた弟の存在は、数年後その気持ちをさらに膨らませることになる。

 幼かった僕は両親に兄と弟だけに習い事を何故させるのか聞く。

 すると両親は悲しそうな顔でお前には私たちの家が繁栄するため特別な役割があり基本的な教育しか与えないのはとある家と縁のある家の要望とだけいった。

 僕さらに困惑したが深く考えることをやめた、両親は兄や弟よりも僕の要望を優先してくれてほしい物のは何でも買ってもらえたので流石に愛されてはいないとは思えない。

 それから暫くしてからの七歳の誕生日の夜、鮮烈な夢を見た、体は闇に覆われ不気味に輝く四つの目と額の歪な星の文様のある化け物が、真っ赤な口内をひらき僕を貪り食う夢。

 その夢は痛覚感触までリアルで僕はかみ砕かれ咀嚼され意識が落ちて目覚めるまでその激痛を感じながら最期に聞こえだおぞましい何かの「貴方の――本当に――あなたを選んで正解だわ」という言葉を聞いて目を覚ました。

 僕はそれから暫く恐怖で病みそうになったが、両親のそれは大人になるまでには治り一年で一回の誕生日から一番最初に寝たときのみにのみに見る夢であり、その夢を見ることは我が家先祖代々続く特別な役割をもつ一族の血を強く受け継ぐ存在である証であるといって盛大なパーティを開いてくれた。

 僕はそのことで僕が僕の一族繁栄のための選ばれし者と思い込もうとした。

 それから十五になるまでその激痛の伴う最悪な悪夢を一年に一回見続けることになる。

 そして十五歳最後のその夢を見たと知った両親は過去一番の盛大なパーティを開きプレゼントの山をくれた。

 それから数日後両親がよそよそしくなりこう僕に告げる。


 「お前の役割を全うする時が来た。これよりとあるお方の夫婦になってもらう」


 僕は詳しく聞こうかまよったが両親のその顔では何も言えず、僕は黙って首を縦にふった。

 その日となり多忙な父と母はこの日のために休みを取り高級外車に揺られ僕の左右に座った両親は無言を貫く。

 ついた先は家が代々受け継だ山であり幼いころ一度だけ来た事とがあると何故か鮮烈に思い出せた。

 両親はこの先の神社の本殿にあのお方はいるとだけ伝え。

 石段を登り始めた後から聞こえてきた母の嗚咽は今でも覚えている。

 暫く石階段を上り見えてきた赤い鳥居は鮮烈な色で塗られ神社と思しき本殿も目新しい木材と鮮烈な色で塗られた新品同様だった。

 僕は両親の言う通り開かれていた本殿に入ると、そこには一人の巫女服を身に纏った少女がいた。

 例えようが難しいが、トップモデルのような美しい容姿に魅了の魔法でもかかっているような女性に興味がない男を抜けば十人中十人美人というそんなルックス。


 「貴方が今回の役割さんですね。貴方が来ると聞いてクッキーと紅茶を用意しました。まずこれを飲んで落ちついてください」


 僕は余りの彼女の魅力に動転して落ち着くために、彼女の用意した滴り落ちる新鮮な血のような色のクッキー紅茶をのんだが一度も体験した事のない独特の味だった。


 「貴方はこの事をどこまで聞いています?」


 「貴方と夫婦になるとしか」


 「間違ってはいませんね。一つとなり未来に向かうという意味では」


 僕が口を開きかけたとき。


 「こらこら暴れない」


 そう言って彼女は手の甲の皮をはがした。

 そこには真っ黒闇のような肌と八年間見慣れた歪な星のマークの真ん中にはまる目玉だった。


 「手の甲の目が動いて僕の方を!?」


 「当たり前ですよ。この目玉生きていますし、私のおやつ件ペットですからね。もう我慢できない」


 そういうと彼女は手の甲の目玉に齧り付き引っこ抜きくちゃくちゃと咀嚼し音を鳴らすと目玉は「ビギィ~~~!?」と断末魔を上げた。


 「いいでしょうこれ? 中身に魂が入っているから鮮度が保たれ栄養もあって断末魔の香辛料がより美味しくさせるのですよ」


 逃げないととって僕は立ち上がろうとする。


 「足が動かない!?」


 「やっと効いてきましたか、流石過去最高の肉の味を持つお役割さん。当然この事は貴方のご両親も知っていますよ。そういう契約ですから思い当たる節あるのでしょ?」


 僕の中で全てが繋がった。 両親の態度 と言葉毎年の夢一族の繁栄のための贄が僕だったと。


 「さあ私の一つとなり夫婦として共に未来に向かいましょう。まあもう聞こえませんかね」


 そして僕の意識は途絶えた。

 次に気づくとそこは真っ暗などこかで何も見えないすると。

 いきなり光が現れ連鎖した。

 どうやら篝火のようだ。


 「気づきましたか、やっぱり若い肉の絶叫は最高の香辛料ですから、安心してください私は生きたまま心臓から食べるのが好きなのですぐ死ねますよ」


 という満面の笑みの彼女の手に握られた赤黒い染みのこびりついた包丁を上にあげた。

 僕は逃げようとした抵抗しようとする。

 しかし拘束されていては何もできず彼女が僕の心臓をえぐり取り涙と痛みで薄れゆく激痛のまま、目にした抉り出した僕の心臓を満面の笑みで貪り。


 「やはり若い男の肉は生きたまま心臓を貪るに限る。次は鍋かステーキかしら、涎が止まらないわ」


 その言葉を聞いてそして僕の人としての命は終わった――

 今の僕は彼女の被った人の皮に隠れる手の甲に移植され彼女の気まぐれで食われる存在――

 僕の人生とは何だったのか?

 いまだに答えが出ない――

 この絶望はいつ終わるのかも――

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