大袋のポン菓子

「古い米を持って、明日公民館へ行ってくる」


 祖母が古い米と大きい袋を用意して張り切っていた。45リットルのゴミ袋の大きさの透明な袋を何枚か持っていた。何事か!?と思わず尋ねる私。


「ポン菓子を作ってもらってくるなぁ。ポン菓子作りって面白いんやよ。大きい音でね。米が爆発したみたいな音を立ててな、米が膨らむ。そこに砂糖をかけてね。甘いお菓子になる。帰ってきたらできているから、食べると良いよ」


 どういうことか、ちょっと想像できないと思いながらも、これは美味しいお菓子を食べれそうだぞという期待があった。


 次の日、学校へ行き、帰るまでどんなお菓子なんだろう!?とワクワクしていた。


 帰るとすぐに祖母に聞きに行った。


「ポン菓子は!?」


「できてるよ。涼しい部屋に置いてあるから、好きなだけとってきて食べるといい」


 これ持って行かなとナイロン袋を手渡された。なぜナイロン袋?と私は不思議に思っていると、先に見てきたらしい姉がフフフッと可笑しそうに言う。


「すごいよ!大きい袋いっぱいねん!」


 大きい袋にいっぱい……!?お菓子が!?私も慌てて見に行った。


 そこには45リットルの袋に大量の白い米が膨らみ、甘い匂いのするポン菓子が入っていた。二袋はあっただろうか。私は圧倒される。とりあえず、小さなナイロン袋にすくって、食べられそうな分だけ入れた。


「おばあちゃん、あれ食べれるかなぁ?」


「大丈夫やよ。他の人にもあげるからね」


 その言葉通り、どこの誰にあげたのか、一袋、次の日になると消えていた。食べきれないくせにちょっと残念になる私だった。


 とにかくその日から学校から帰ってきてから『今日のおやつなに?』と、おやつの心配はしなくてよくなった。自分が食べたいだけ袋にすくっていれて、サクサクフワフワの触感と優しい甘さのポン菓子を思う存分楽しんだ。ときどき固まって塊状のものもあった。ポン菓子の塊は硬いけれど、カリッとして粟おこしのようで、『これ当たりだね』と喜んで姉と食べていた。


 食べきれないと思っていたポン菓子だったが、ちょっとしけってきたころには袋の底がちょうど見えてくる。


 そしてついになくなると私は祖母に聞くのだった。今度、いつポン菓子作りに行くの!?と。

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