SF(すっごいファック)
第4次世界大戦でアメリカに中国とドイツの新型兵器が落とされ、仏の顔も三度までという言葉通り世界が終わった。明日で終ってからちょうど5年、どうという事は無いんだけど、無いという事自体意識が低いわけで何か書けたらよかったんだけど私の毎日は別に終わってなんか無いし、ちょっとハンバーガーが高くなったくらいでむしろ充実してるし、吊り橋効果?ってやつで片思い中だったSくんと付き合うこともできた。
なんて世界が大変と連日ニュースでやってるのに呑気な私。でも幸せは人を馬鹿にするってのは本当らしい。現にもう、私、死んでもいいなんて平気に言えてしまう。
「明日世界が終わるかもしれないから付き合おう」って言って付き合ったけどうまくいってる。これと言っていう事も無い、っていうか私って無感情なんだなぁって思う。こんなに感情を爆発させられるのは文字列の上でだけだし、まあこんな性格だから何かをするには理由というか、むちゃくちゃな勢いがないと出来ない。私だけだろうけど世界が終わってくれて良かったと思う。終わってくれなかったら私のメンタルが終わってたし、それこそ自殺してた。そんな瀬戸際ギリギリに私はいるのです。
誰も助けてくれなかったけど、肉体的な娯楽はチンケな悩みくらいは覆い隠してしまうものでこうして呑気に生きています。
死んでいるのと変わらないと言えばそうですけど死ぬよりはマシでしょうと、どこか他人事の毎日。そういうことをしてる時だって「すごいなぁ」って、映画見てるみたいな感情の動きしかしないし、楽しい事って夢みたいで酷く悲しい。つらい事だけが真実味を帯びていて記憶にくっきり痕を付けてくるから困る。誰誰が別れたとか、新しい彼女と付き合ったけどシャブで捕まった元カノが忘れられないとか又聞きの又聞きみたいなクソ話ばっかり覚えてて社会性の無い社会人になってしまったから世間の片鱗に触れただけでその雑多な荒波に揉まれてしまう。
ようは何もしていない、何も吸収していないスポンジだから変に刺激のある、檸檬みたいに酸っぱい青春話に感動してしまうわけで、自分以外を受け入れる余裕たっぷりなのが悪い。こんな悩みじゃないような悩みもどきに悩まされて悩ましい。何の話をしようとしていたかも忘れちゃったし、目はパシパシするし。まあとりあえず充実してるけどこの充実がやっぱり気持ち悪くてこの先続いていくとしたら最悪って事。明確な終わりを設定して欲しい、そうすればその時までは精一杯生きるからさ。
「明日ほんとに世界が終わっちゃえばいいのに。」私は独りそうツイッターにつぶやいた。
不採用通知が面接した対して有名でもないし、世界的な何とかでもない。圧迫面接とセクハラが日常化したクソみたいな企業から来たのが2時間前。
呟いてからは四日経ってる。地方の雑魚企業らしくコンプライアンスにうるさく私の病みツイに過剰反応、結果が不採用。もう最悪、火炎瓶の準備はOK。腹立つし、不採用にしてよかったと証明するようなことになるけどこの恨みを引きずるより玉砕覚悟で。
という事で木造二階建ての意識高い系のキャンピング会社に来たわけですけど、車がやったらめったら灯油臭い。このまま火を付けたら車まで燃えそうなので近くの道の駅に車を止めなおし、気を取り直して。
赤い横断歩道にやきもきしながら。右手にチャッカマン左手に火炎瓶、リュックの中にはマイメロディ。
点火。投げる。
彼氏に振られたのもこの暴走を後押ししている。理由としては立派に骨組みがある。だからと言って許してもらおうなんて思わないし、逃げるつもりも無い。私が逃げ出したいのはこのいつ終わるか分からない日常だから。私が死ぬために私は人を殺すのです。
心とは何て無力なのでしょう、体は既に走り出して緑の横断歩道を渡り終え、車に乗り込もうとまでしています。
逃げないといけないことをシナプスは告げているのでしょう。アクセルを踏む足に力もこもります。
逃げるあても無いのに、この不安を背負うことを体は決めたのでした。
ファイヤーから三日、バーニング企業は不採用通知以外の通達を私によこしません。どうやらバレていなかったようで、それはそれで嬉しい誤算。私のアドレナリンを制御する脳のどこかはスッカリぶち壊れて、今はただ男を求めています。これも吊り橋効果でしょう。LINEは既に彼に、シャブ中好きの彼に送信済みです。
「あーあ、私も脳の働きだけならシャブ中とタメはれるのになぁ」
何て不毛などんぐりの背比べ、つまらないキャットファイトです。精神の動きは寂しさを埋めるためだけに働いています。ドアが開くのをパブロフの犬のように今か今かと待ちわびています。
ガチャリ、とドアが鳴り。私は彼に抱き着く、私は「愛してる」と言い彼も条件反射で「俺も愛してる」と言います。酷く動物的なやり取りが繰り返された後6畳ほどのぐちゃぐちゃルームで私たちは二人、ぐちゃぐちゃになるまで夜を越します。腰の痛みに朝方嘆き、浴室の異臭に笑い合いもみくちゃになりながらエコーする喘ぎ声を聞く、それを青春の一ページとして脳裏に刻んで、ふとした時に思い出して苦笑いしながら夕日をベランダから眺めて子供の泣き声笑い声に涙する。なんでしたっけ、まあなんかイライラします。私の浅さ、つまらなさに。上記のあれこれをしてみたいと思ってしまう自分に苛々します。お風呂場で、陰部の見えないシュレディンガー方式の性行為をしたい。それだけが望みです。はい。
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