第2話 ふわふわのおむつ

 教会の片隅に座りながら、私はじっと児童たちが使っている布おむつを見つめていた。薄汚れた布たちは何度も洗われ、使い古されているが、吸水力があることは間違いない。児童たちのオネショ対策のために、この布おむつが使われているのは知っているが……。


(これ……私も使うべきなの?)


 思い浮かべるのは、今朝も隠蔽に追われたオネショの後始末。どうしてもあのベッドのシミが頭から離れない。何度も洗っても落ちない黄色い痕……それを見て、私は何度かシーツを畳んでため息をついた。それでも、毎朝続くオネショを隠し通すためには、何か対策が必要だ。


(でも、こんなに小さなおむつ……私が使えるわけない)


 3歳児用の布おむつが、26歳の私に合うはずがない。ヒップのサイズも全く違う。それでも、目の前にある現実を無視するわけにはいかない。なんとか使うしかない――そう考えるしかなかった。


 私はそっと立ち上がり、周りを見渡した。幸い、今はシスターたちも児童たちも他の部屋で掃除をしている。急いでおむつの山から数枚の布を手に取り、さりげなく持ち帰る準備をした。


(何枚必要だろう……)


 最低でも5枚は必要だろう。おむつ1枚あたりの吸水量は100ml程度しかない。私の膀胱がどれくらいの量を出すかは正確にはわからないが、余裕を持たせなければいけない。布おむつを5枚重ねて、さらに股下を通す形で数枚追加することにすれば、ある程度の吸水は期待できるかもしれない。両足の付け根にも1枚ずつ挟み、横漏れを防ぐ……そんなイメージが浮かんでくる。


(これでどうにかなるかもしれない……)


 私はそっと、持ち帰る予定の布おむつを隠し持ちながら、教会を出るタイミングを図った。教会の洗濯場に、隠し持った布おむつを混ぜ込めば怪しまれないはずだ。


 洗濯場に到着すると、メイドたちが既に作業をしていた。私はそっと、持ち帰る布を他の洗濯物に紛れ込ませ、怪しまれないよう振る舞う。

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