第2話シナリオ
「アカネー! おはよ!」
クラスの女子に黄色い声でアカネと呼ばれる彼は、本名・蝶野茜の芸能人。利駆とはどうやら親しいようだが、その親しさが他の女生徒たちの癇に障るらしく、先ほど利駆が集団に攻められていたのもこれが原因か、と織羽は納得する。
利駆は茜から買い物を頼まれると、購買部へ向かうため教室を後にする。利駆にまだ用事のあった織羽は慌てて彼女の後を追って呼び止めると、どこか出血しているはずだと指摘。頭に怪我を負った彼女を保健室へ連れて行く。利駆はもともと他人の言うことに否を唱えられない性格だが、なにより織羽の手が驚くほどひんやりと冷たく呆気にとられたことで、なされるがままについて行った。
保健室に着くと、織羽は養護教諭に利駆の治療を任せる。頭皮に付着した血液が拭い取られたことで血の匂いが薄れ始めたのを確認すると、織羽はそのまま保健室を出、家に帰ってしまう。一方の利駆は、治療を終えた頃には次の授業が始まってしまい、茜に頼まれた買い物をすることができず、茜に怒られるのだった。
数週間後、織羽が気に入りの場所で授業をサボっていると、以前利駆を詰っていた、女生徒の集団が、切り裂かれた利駆の体操着を隠している場面に遭遇してしまう。ばら撒かれたそれらを回収し、久々に教室に顔を出した織羽は、途方に暮れている利駆を発見。かつて体操着だった服の切れ端を差し出す。利駆はパッと表情を明るくすると、織羽からそれを受け取り礼を言う。
彼女のその笑顔と、先日女生徒たちから攻撃を受けていた際の表情との差が、織羽の気まぐれを引き起こした。普段は極力人に関わらないようにしている彼が、「茜は利駆が嫌がらせを受けていることを知っているのか?」と、自ら疑問を口にしたのだ。織羽の質問を首を振って否定した利駆は、「女どもにやめろって言ったことは?」という次の問いにも首を振る。織羽はその態度が気に食わず、次第に彼女に腹が立ってくる。
「何故何も言わないのか?」その問いには、「言っても仕方ないから」との答え。口を頑なに閉ざすのは、聞く耳を持たない、意見を改める気のない人に対して、言葉は何の力も持たないと知ってしまったから。そう、利駆は言う。次いで彼女は、自身の抱える事情を織羽に説明し始めるのだった。
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