「夕方の路地裏」「抱き合う」「飴」
夕方の路地裏は、そこだけぽっかりと暗くて、夜のよう。
繋いだ手がただあたたかくて、この手があれば何も要らないとすら、思う。
「ちょっと、福島、どこまで行くの」
「あぁ、ごめん」
足を止めれば、少し後ろで同じように立ち止まる音。考えてみれば、こんな風に外で手を繋ぐことなど、なかった。
もう少し、もう少しだけ、繋いでいたい。
指を絡めて強く握れば、後ろで小さく笑う気配。振り向くよりも先に、引き寄せられる。口を開こうとすると、宮城の指が、口を塞いだ。
「これでも舐めて静かにしてなよ」
ほんとうに、世話が焼ける。
言葉に反して楽しそうにそう言いながら、宮城は福島の舌に飴玉をのせた。
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