第五話 巨大獣アビンゴ 謎の怪物を追え 6
ニコニコしたマーヤちゃんが俺にリボンをひらひらさせて見せてくる。
彼女に装着された大きな真っ赤なリボンは猫の耳にも見ようによれば見える。
確かに可愛い、でも無駄にアピールしない方がもっと可愛いんだけどな。
可愛いものが可愛いでしょ可愛いでしょとアピールしてくるよりも、普通にしているところを見ている方がよほど可愛く見えるのが真理と言えるだろう。
「ご主人様ー。何やってるのですか?」
「これは、テレビのアンテナチューニングだ、これで上手くやれば……地球のテレビが見られるかもしれないからな」
この時代のテレビは地上波デジタルなどとはかけ離れたブラウン管のアナログ時代だ。
よく言われた叩けば直るテレビ。
だが俺は現在の日本のエンジニアをやっていたので、それよりも性能の高いテレビを作る事が出来る。
だから地上波デジタルに近いレベルのノイズの無いテレビを作る事も出来るのだ!
よし、完成だ! テレビが映るようになった。
なお、このテレビの高性能アンテナはマーヤちゃんのリボン型アンテナを使わせてもらっている。
マーヤちゃんマジ電波塔。
「マーヤちゃん、面白いものが見れるよ」
「本当ですか!?」
俺達が見たのは――水曜ダイナミック・幻のツチノコを追え!――の番組だった。
そうそう、龍也達がこの番組を見てツチノコ探しを次の日に始めるのだ。
番組は幻の生き物ツチノコについてわざわざ帝都大学の教授を呼んで説明させたりしていたが――今の俺が見るとメチャクチャ胡散臭い物だった。
マーヤちゃんはツチノコの事を真剣に見ている。
あら、マーヤちゃんってテレビっ子の素質有ったのね。
これ放っておいたら一日中テレビ見てるダメ人間――もといダメアンドロイドになってしまうかもしれない。
オレがそんな事を懸念している時、テレビの番組がいきなり変わった!
「番組の途中ですが、臨時ニュースを申し上げます。本日、東京都九王子市に謎の巨大怪物が出現したとの情報が入りました。現場の徳沢さん」
「はい、こちら現場の徳沢です。本日夕方に東京都九王子市に出現した謎の怪物は高御山近くで目撃され、ツチノコでは無いかと言われていましたが、その後巨大な怪ロボットであることが確認されました!」
あらあら、どうやら時系列的に本来は水曜ダイナミックを見終わった次の日にダバール星人が地球に到着するはずだったが、バルガル将軍が先に出撃した事でそれが前倒しになってしまったようだ。
テレビを目をキラキラさせて見ていたマーヤちゃんが不機嫌そうにふくれっ面になっている。
オイオイ、一応仕事の同僚がそこに行って頑張ってるんですよ、マーヤちゃん。
そして夜の九王子市にダインマシンが到着し、巨大獣アビンゴと対峙した。
「やいやいやいっ! ダバール星人と巨大獣! よくもオレ達の見ていたテレビを邪魔してくれたなっ! この恨みぶつけてやるっ」
「……下らないなっ」
「何だと、流! てめーも一緒にテレビ見てただろうが! これでツチノコ見つける方法わかんなくなってしまっただろうがっ」
「龍也さん、今はそれどころではありませんよ!」
コイツら、テレビ見ていたのを邪魔されたので相当機嫌が悪そうだ。
まあ気持ちはわからんではない。
昔はテレビが高く、楽しみにしていたテレビを見ていた時に母親に――ご飯よー。――と呼ばれてしまうと、テレビが一台しか無い場合は急いでご飯を食べないといけなくなる。
それで急いで食べ終わってテレビに戻ったら既に鬼面ライダーのキックが炸裂した後でもう怪人が爆発していたなんてのが何度あった事やら。
「何をわけわからん事を言っておる!? ガッダイン! 今日こそ決着をつけてやるぞ!」
バルガル将軍がガッダインチームに向かい機動要塞ドグローンから大きな声で叫んだ。
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