第五話 巨大獣アビンゴ 謎の怪物を追え 5
次の日、俺は自分の部屋に入れてもらえず、寝不足のまま朝を迎えた。
今俺がいるこの超巨大要塞基地デラヤ・ヴァイデス、規模がデカいのである意味基地や要塞というより宇宙に浮いた巨大都市みたいになっている。
それこそ次回作の獣将ダイノスの小ガーム星や超機動要塞ギガロスの主人公達の乗る事になる異星人のブービートラップ、巨大要塞ギガロスと同じ、いやそれより大きいかもしれない全長一万メートルだ。
なおこの三つともデザインしたのはスタジオきまいらの武宮氏なので、デザイン的に似ているは仕方が無い。
流石にこの大きさだと大気圏突入は不可能なので宇宙で建造して宇宙空間を移動するしかできない。
だから地球に降りる際には大気圏突入が可能な機動要塞ドグローンになるわけだ。
しかしこのドグローン、最初にアニメで見た時はかなりビビった。
ガッダイン5のオープニング映像で主人公達のダインマシンの数倍以上の骸骨型の巨大要塞ドグローンがいきなり下からせり上がってくるんだから。
このオープニングアニメーションを作ったのは金山伊助という伝説のアニメーターで、その特殊な動き方はとても他人がマネして描ける物では無かった。
まあ今回、俺は地上に行くわけではないので、機動要塞ドグローンに毎度おなじみのスパイドローンを仕込み、それで様子を見るというわけだ。
だがそのスパイドローン映像が見られるのは俺の部屋だから、中に入れてもらえないと困るんだよー!
「お願いだー、ここを開けてくれー!」
「アナタは誰ですか。ここには誰もいませんよ」
いるじゃないか、居なきゃ返事なんてするわけないんだから。
そしてこの扉、ブキミーダがよほど疑心暗鬼だったのか外からはカギであるマーヤ無しに開かず内側からしか開けられない。
つまり今はカギとも言えるマーヤがボイコットをしているので内側から空けてもらわないと俺はこの中に入れないんだー!
「俺はお前の主人のブキミーダだ。頼む、ここを開けてくれー」
「約束……忘れてないですか?」
「約束? って何だったけ」
「――! 絶対ここ開けませんからっ」
わーそれは困る。
早くマーヤの約束を思い出さないと……そうだ、あの話か。
「ご主人様はワタシよりもあのばいんばいんで品の無い女の方が好きなんでしょ、だったらそっちに行けばいいじゃないですか」
あー、コレ完全にミザーリンに嫉妬してる。
ブキミーダのヤツ、何気にマーヤちゃんを人間っぽい性格のアンドロイドに作ったのでこんな感情も備えていたのか。
これはこれでかなり厄介な状態だ。
「わわわ、わかった。約束を叶えてやるから、だからここを開けてくれー!」
「適当な事言ったら絶対に開けませんからねっ!」
うーむ、マーヤの約束……思い出さないと、この扉を絶対に開けてもらえない。
さて、何だったか思い出してみよう。
えーと……確かこの間マーヤちゃんが拗ねてた時に言っていた事――可愛いパーツを付けてあげる――これだ!
「マーヤちゃん、俺が悪かった。可愛いパーツ付けてあげるから、だから許してくれ」
「……本当ですか? 可愛いパーツ、どんなものを用意してくれるんですか??」
マーヤちゃんが喜びそうなアンドロイドに付けられる可愛いパーツ、そうだなーとりあえずリボンにしておくか。
「そ、そうだ。真っ赤な可愛い大きなリボンはどうだ? それも収音機能付きのアンテナやレーダーになるやつ!」
「……」
プシャー。
俺の部屋の入り口のドアがようやく開いた。
マーヤちゃんが少し機嫌を直して開けてくれたみたいだ。
「ご主人様、約束……守ってくださいね」
少し怒って困り眉毛のマーヤちゃんマジで可愛い。
この子の約束、きちんと叶えてあげないと。
俺はマーヤちゃんにピッタリなサイズの大きなリボン型アンテナレーダーパーツを作り、接続してあげた。
「ご主人様。これ、とっても気に入りました! ありがとうございます」
ほっ、ようやくマーヤちゃんの機嫌が直ったみたいだ。
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