第四話 巨大獣ゾゾゲゲ 死の沼作戦 5

 俺はいつものロボット格納庫に来た。

 隣にいるマーヤちゃんが鬼の形相なんですが……マーヤちゃんマジ鬼神。

 今回は特にミザーリンによる嫌がらせも無いだろうという事で、ロボット制作にスタッフが足りるだろうと思ってたら……。


 ――すみません、食中毒でスタッフ全員リタイアです。


 なんじゃそりゃーっ!


 ……というわけで、今日もまたまた二人だけのロボット作成タイムスタート。


 いつものガッダイン5大百科からのスペック

 ――巨大獣ゾゾゲゲ――


 全長53メートル、体重2000トン

 横幅に広い巨体に大量の毒を詰め込んでいて、攻撃されると毒液を吐き出す。

 この毒液を喰らうと。その場所から金属が溶けてしまう。


 ガッダイン5を毒液で苦しめるが超電磁プロペラの乱れ撃ちによる風圧で毒液を跳ね返され、超電磁スマッシュを受けて爆発。


 うん、何というか見てすぐにわかるメタボ体型。

 身長に対して体重重すぎだろう。

 しかもその体の中の大半が毒液タンクって、ブキミーダの性格の悪さをそのまま形にしたような巨大獣だ。

 しかしどうしてどんな物も溶かす溶解液を入れられるタンクが存在したんだ? 深く考えたら負けな気がする。


 しかし俺は今回絶対にこの毒液を使った作戦はやりたくない。

 だからといって何もしないというわけにもいかない……さあ、何かいい方法は無いものだろうか?


 人が死ぬ毒だから惨劇が起きる、それならば痺れ薬ならばどうだろうか?

 ――ダメだダメだ、下手に車に乗っている人が痺れ薬で動けなくなったら大惨事確定、それもタンクローリーとかなら大火災のおまけつきだ。


 そうなると痺れ薬も没、さて、何か面白系の昔の作品の悪の軍団の作戦なら何か参考になるかも……。


 そうだ! 爆走戦隊マシンジャーの池の水ワライタケ大作戦を参考にしてみよう!

 アレは大漁のワライタケを集めた宇宙愚連隊ブッソーズが池に大量のワライタケを入れる事で笑いエキスの入った水で街中笑いが止まらなくなるという珍作戦だった。


 これだ! これを使おう。


「マーヤちゃん、調べものしてもらいたいけど良いかな?」

「なんでワタシなんですか、ミザーリンさんに頼めばいいじゃないですか。どーせワタシは足無しロボットですよーだ」

「マーヤちゃん、拗ねないでちょうだい。後でナデナデしてあげるから。そうだ、可愛いパーツ付けてあげようか」


 マーヤちゃんがふくれっ面のままこちらを上目遣いに見ている。

 でも身長的にそれじゃどこを見ているかわからないよ、マーヤちゃん。


「本当ですよ。可愛いパーツ付けてくださいよ。それで、何調べるんですか?」

「そうだな、笑いが止まらなくなるような毒成分を調べてくれないか? それをゾゾゲゲのタンクの中に詰め込むから」

「わかりました……笑いガス、笑いエキス、神経系毒……」


 マーヤちゃんが調べものをしてくれている間に俺は巨大獣ゾゾゲゲの整備を進めよう。


「ご主人様、わかりました! この成分なら生成可能です。クロシビン、クロシンを含んだキノコ類というもので神経系の麻痺により笑いが止まらくなるそうです」


 何それ怖い。

 でもこの作戦で--死傷者を出さずに作戦実行しました、でもガッダイン5に負けました--のスタイルを作るにはこれしかあるまい。


「マーヤちゃん、その毒を作る事は可能か?」

「ご主人様、この優秀なマーヤにお任せ下さい!」


 そう言うとマーヤちゃんは何やら食糧庫に有った怪しげなものを大量に持ってきて魔女鍋のような物を作り出した。


「こうやって練って、こうやって練って」


 何と言うか練れば練るほど色が変わっている……。

 というかプール一杯のこのエキスからは異様な臭いが漂っていてかなりキツイ。

 マーヤちゃんはアンドロイドだからこの臭いとか気が付いていないらしいが。


「ご主人様、完成しました!」

ほ、ほうはそ、そうかほくほうははご苦労様


 俺は鼻をつまんだまま妙な液まみれのマーヤを労った。

 そしてついに笑いの止まらない毒エキスが完成した。

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