第四話 巨大獣ゾゾゲゲ 死の沼作戦 4

「ミザーリンよ、申し開きがあるなら言ってみるがよい!」

「いいえ、シャールケン様。今回の件は全てわたくし自らの失態でございます。ですからどのような罰も受ける所存でございます」


 原作とやはり展開が違う。

 俺の知っている原作のミザーリンは――わたくしは悪くない! 悪いのはブキミーダだ――と言っていた。

 それも特に前回はブキミーダが足を引っ張ったわけではないのに押し付ける始末だ。


 しかし今のミザーリンは自らが悪いと言っている。

 この態度、原作の彼女からはとても想像がつかない。

 そして彼女は今、急いでここに来たからというのもあるが、普段のうわキツな感じの溶解人間デラのようなメイクをしていない。


 すっぴんの彼女はこれまた安川美人といった感じの普通の美女といった雰囲気だ。


 これは言うならば鬼面ライダーアレックスの幹部、悪女メイクのキツイ女妖術師タカバロンが学園ドラマの保健教師で出た時はナチュラルメイクの綺麗なお姉さんになっていたくらいのビフォーアフターだ。


「そうか、ミザーリンよ、そちは重傷を負ったと聞いておったが、身体は大丈夫なのか?」

「はい、ブキミーダ様がわたくしを助けてくれましたので、今こうしてここにおれます」

「何、ブキミーダだと? それは本当か?」

「はい、ブキミーダ様は燃え盛る炎の中わたくしを助け、瀕死だったわたくしを治療してくださいました」


 このミザーリンの報告を聞いたシャールケン提督が口元に笑みを浮かべた。


「でかした! ブキミーダよ。褒めてつかわそう。お前達は余の大事な部下だ、誰一人として欠ける事は許さん。ダバール数億の民の為、何としても地球移住計画を進めるのだ!」


 シャールケン提督の今のセリフ、原作にもあったがこれがこの作品の肝だ。


 ガッダイン5大百科に書いていたが、実はダバール星は人工太陽が暴走してしまい、このままでは人工太陽のせいで数億の民が近いうちに全て焼け死んでしまう。

 その為シャールケン提督はダバール星人達の移住先として地球を手に入れようとしているのだ。


「状況はよくわかった、ミザーリンよ。今回の件は不問に処す、身体を厭うがよい!」

「ははっ、シャールケン様。寛大な処置、誠に有難うございます」


 そしてキリっと目線を鋭くしたシャールケン提督が俺とバルガル将軍の方を見た。


「ブキミーダよ、地球人共を大量に捕まえたと聞く、早速その者達を奴隷とし、強制労働をさせよ!」

「お言葉ですがシャールケン様」

「バルガルか、何か不服か?」

「はい、地球人達を奴隷にするのは吾輩反対でございます、彼等は貴重な戦力、人材となります。むしろシャールケン様が地球を征服の暁にはその者達を恐怖ではなく人徳で統べる事により、彼等は命令ではなく自己的に喜んで殉ずるような者達になる事でしょう」


 適当な理由を付けているが、ようはバルガル将軍はみどりさんを悲しませたくないので地球人を奴隷にするのは嫌だと言いたいのだろう。


「ふむ、まあそちの言う事も一理ある。良かろう、それでは地球人を捕虜としてバルガル将軍に任す!」

「ははっ、このバルガル命に変えましても!」


 これで今回の侵略作戦はバルガルが出かけることは無くなった。

 ミザーリンは傷が癒えるまで休養を取るように言われているので、こうなると自然に出撃するのは……。


「ブキミーダよ! 今回の作戦はそちに任す! 必ずややり遂げて見せよ!」

「はっ、このブキミーダ、ガッダイン5めを必ずや倒して御覧に入れます」


 俺は原作のブキミーダのセリフをそのまま言っておいた。

 下手に疑われても困るのでここはこうしておいた方が良いだろう。

 しかし、あの沼に毒水はやりたくないもんだ。――さて、何か別の方法は無いものだろうか。

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