第四話 巨大獣ゾゾゲゲ 死の沼作戦 3
ええええっえええぇぇぇぇ!?!?
ミザーリンが俺に惚れた!?
これはどう考えても想定外すぎる展開だ。
「わたくし、気が付いてしまったのです。人は限界になった時、何をできるか、してもらえるかでその人の価値がわかると。ブキミーダ様は死にかけていたわたくしを命がけで助けてくださいました。普段罵倒していたわたくしを、命を懸けても助け出してくれる、この方はそれほどまでにわたくしを大事に思っていてくださったのだと」
何か大きく誤解されているみたいだが、俺は別にミザーリンが好きで助けたわけではない。
むしろ軍の中で同僚を簡単に見捨てるような行動でマイナスイメージにならない為だったんだけどな……。
「そして更に気が付いてしまったのです、ブキミーダ様もガッダイン5相手に死にかけたのだと、そこで今までの糞みたいな性格が入れ替わったのでしょう。だから以前のセクハラばかりしていたあのブキミーダ様ではなく、私の事を、命をかけて助けて下さるような今のブキミーダ様になったのですね!」
いや、途中の推察通り性格が入れ替わったと言えばそうかもしれないが、むしろ中の人物自体が入れ替わってしまっているといった方が正解なんだがな……。
「わたくし、心を入れ替えてこれからは男を食い物にするような生き方は止めます、そしてブキミーダ様に変わらぬ愛を誓いますっ!」
「ミザーリン様、お言葉ですが貴女はシャールケン様がお好きだったのではないのでしょうか? ご主人様とシャールケン様を天秤にかけるつもりですか!?」
マーヤちゃん、ここで女の戦い始めないで、話がややこしくなる。
しかし、前の人生で彼女いない歴三十数年の俺がこのブキミーダの見た目で女の子に取り合いされるなんて、全く想像がつかなかった。
「あら、シャールケン様は憧れの方、決して手の届かない至高の存在ですわ。それに対してブキミーダ様はわたくしが愛を誓うに最もふさわしい方だと思っておりますのよ」
それって、例えるならばイケメンアイドルに憧れながら現実の生活では旦那さんを持っている女性の考え方というべきなのだろうか……。
「だったらその憧れの方に近づけるように努力すれば良いじゃないですか、ご主人様を横取りしないで下さいっ」
「何よこの小娘、ブキミーダ様にちょっと可愛がってもらってるからって!」
「黙りなさいよこの泥棒ネコ!」
だからキャットファイト始めないでー。
その空気を変えてくれたのは一本のテレビ電話だった。
「お前達、何をやっている! 至急謁見の間に来るように! 作戦会議を始める!」
ほっ、助かった。
これでようやく第四話の話が始まるわけだ。
ガッダイン5大百科によると……。
第四話はバルガル将軍もミザーリンも侵略作戦を失敗した事により、ブキミーダが自分に作戦を任せて欲しいと言って出撃。
海外の大型遊園地を誘致する計画の進んだ関東の地方都市に巨大獣ゾゾゲゲを出現させ、工事現場近くの沼に猛毒を入れる事で辺りの住民を大量虐殺。
そこにガッダイン5が到着し、巨大獣ゾゾゲゲを倒すものの、沼の水を浄化することは出来ず、山の一部を使って沼から水が周りに出ないようにするのが精いっぱいだった。
大勢の人達を犠牲にしてしまった事をガッダインチームの面々が悔やむが、三島防衛長官が失われた人命は多いが、お前達のおかげでこれ以上の被害は出さずに済んだ……だから胸を張って良いのだと慰めるシーンで終わる。
なんともやはり浜野監督らしい救いの無いラストで、今回もモブに厳しい話だった。
さあ、作戦会議が始まるようだ。
俺はバルガル将軍、ミザーリンと共にシャールケン提督の元に集まった。
「これより地球侵略計画の会議を開始する!」
その直後、シャールケン提督がミザーリンの方を向いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます