第四話 巨大獣ゾゾゲゲ 死の沼作戦

第四話 巨大獣ゾゾゲゲ 死の沼作戦 1

 巨大獣ガガビビの大爆発は、辺りの誘導ミサイルにまで誘爆し、グローン円盤を破壊した。


「キャヤアアアアァアッッ!」


 凄まじい金切り声が響いたはずだったが、俺はその時それに気が付かなかった。


「ご主人様、何かの声が聞こえます。何やら女性の叫び声のような……」


 女性の叫び声? この辺りの地球人はあらかたドグローンに収容し、重傷者はメディカルルームに放り込んであるので、心当たりがあるとすれば……!


「マーヤ、でかした。俺は今からグローン円盤で様子を見てくる!」

「あ、ご主人様。どこに行かれるのですか?」


 俺はグローン円盤で辺りを探した。


「ミザーリン殿、ミザーリン殿。返事をしてくれますか?」


 だが、返事は無かった。

 どうやら彼女は巨大獣ガガビビの爆発に巻き込まれてしまったらしい。

 とりあえず探し出して助けてやらないと!


 別にこれは慈善事業ではない、むしろ俺はあの女が大嫌いだ。

 だが、同僚を見捨てたとなるとイメージが悪くなる、それならばここで恩を売っても損は無い。

 幸いガッダインチームは撤収後だ、多分この後浜辺で龍也と流が男同士の殴り合いの決闘を始めるのだろう。


 だから俺は安心して焼け野原上空をグローン円盤で探した。


 見つけた! あのグローン円盤、あれにミザーリンが乗っていた。



「熱い、熱いっっ……誰か、誰か助けて……」


 わたくしはこの円盤の中で火に包まれていた。

 何故わたくしがこんな目に遭うの……? これもあのブキミーダのせい……!

 誰か、助けて……このままでは火が、わたくしの美貌が焼けてしまう……。


 ――ダメだ、もう助からないの……?

 いや、もし助かったとしても、わたくしの顔はもう元には戻らない。

 

 わたくしは燃え盛る火の中で、痛みと苦しみの中、もがいていた。



「ミザーリン、今行くぞっ! 少し待っていろっ」


 俺はグローン円盤を着陸させ、ミザーリンを中から救い出そうとした。


「あ、あちちちっ熱っ!」


 金属で出来た円盤は燃え盛り、外部から空けられるハッチは壊れてしまい、開閉できなくなっていた。


「クッソぉ!」


 俺は辺りの大きめの瓦礫を拾い、グローン円盤の傷ついた場所にぶつけたが、それでもハッチはビクともしなかった。

 ダメだ、このままではミザーリンが焼け死んでしまう。そうなると俺の立場が……!


「ご主人様! 退いて下さいっ!」


 この声は、マーヤちゃん?

 マーヤちゃんは別のグローン円盤の攻撃用触手を使い、ハッチの蓋を弾き飛ばした。

 マーヤちゃんGJ!


 俺は気を失ったミザーリンを円盤から担ぎ上げ、どうにか機動要塞ドグローンまで連れて帰った。

 ミザーリンは全身大火傷で生きているのが不思議なくらいだった。


「マーヤ、メディカルルームを至急開けろ、ミザーリンを治療する!」

「ご主人様……はい、わかりましたっ!」


 マーヤちゃんは真剣な目つきでミザーリンを担ぎ、メディカルルームの治療ポッドに投げ込んだ。


 間一髪というべきか、これでどうにか助かるだろう。


 俺は機動要塞ドグローンを浮上させ、ダバール星人の本拠地デラヤ・ヴァイデスまで連れて帰る事にした。

 地球人達も捕虜として俺に丁重に扱われる方が避難民として食うものに事欠くよりはマシだろう。


 さて、本来の流れとは大きく変わってしまったが、俺は後悔はしていない。

 とりあえず目の前で苦しむ、傷つく人がいたら助けてあげたい。


 俺はそれを小さい頃ガッダイン5や鬼面ライダーX3、アルティマンライオや81に教えてもらった。


 それが俺のヒーロー像。

 こんな姿に転生してもやはり俺の気持ちは地球人でヒーローに憧れる少年だったんだな。


「ご主人様、そろそろ要塞に到着します」

「ああ、わかった」


 俺はデラヤ・ヴァイデスに帰還した。

 ミザーリンの容体は急を要する、俺はドグローンのメディカルカプセルから彼女をメインメディカルルームに搬送した。

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