第二話 巨大獣ゲスラー 母の悲劇! 2

 みどりさんは子供がいるとは思えないくらい若々しい美人だった。

 千草があれだけの美少女なんだからその母親が美人でも何もおかしくない。


 この北原みどりさんもやはり安川美人といった感じの女性だ。

 第二話で亡くなるのが勿体ないくらいの天才科学者の高スペックで更に美人。

 こんなキャラを平気で殺すのが浜野監督なのである意味思い切りが良いといえる。


 他の作品なら彼女が司令官になってもおかしくないくらいだ。

 まあ未亡人の彼女が亡き夫の遺志を継いで作ったのが北原未来要塞ベースであり、今は北原博士の親友の代々木博士が所長代行を引き受けている。


 ところで、――要塞ベース――って、まるで仮面の忍者月影のラスボス、悪魔魔王サタンデモンみたいに同じ言葉の繰り返しっぽいが……要塞をベースではなくフォートレスと考えれば良いのだろうか? まあどうでも良いくだらない疑問だが……。


 本来なら第一話で瀕死、第二話で死亡するところだったが、俺が動いた事で本編とは少し違った流れになっているようだ。


「う……ここは?」

「気が付かれましたかな、北原博士」

「誰ですか!? 貴方は!」


 みどりさんは気丈な女性だ。

 強い目つきで俺を睨みつけているが、それが美人なのでこの顔はこの顔でグッとくるものがある。

 ところで何だかさっきからマーヤの俺に対する視線が普段のつり目よりもキツく感じるのは気のせいだろうか?


「ワシはブキミーダ。まあダバール星人の博士ですわ」

「ダバール星人! 私をどうするつもりですかっ!」

「いえ、どうもしませんよ」


 みどりさんは銃を抜こうとした、だが銃は既にマーヤが没収済みだ。


「無駄ですよ、奥さん。銃は回収済みです」

「っくっ! 殺しなさい! ガッダインの秘密を自白させられるくらいなら、私はここで舌を噛み切って死にます!」


 マジでやめて。

 何でこう昔の作品の人って潔いのかな、やはり戦後すぐの世代が作ったからなのだろうか。


「気丈なお方だ、だが……コレを見てもそう言えるかな!」


 オレはマーヤに用意させた物をみどりさんに見せた。

 マーヤはどうも不本意そうな顔だったが仕方が無い。


「これは……!」

「さあ、いかがですかな?」


 俺がみどりさんに見せた物は、豪華な食事だった。


「どうぞ、地球人の好みに合わせた味にしてありますので……」

「こ、こんな食べ物でガッダインの秘密を聞き出そうというのですか! この卑怯者っ」


 いや……ガッダイン5の秘密なら、はっきり言って第二話で死亡した貴女より俺の方がよほど詳しいので聞き出す必要なんて全く無いんですが……。


「そんな野暮な事はしませんよ。貴女は大切な人質だ。要塞に着いたら丁重に扱わせていただきますよ」

「くっ! いっそ殺せっ!」


 そうは言いながらも彼女は空腹だったのだろうか、食べ物に目線が釘付けになっている。

 俺はフォークで肉を刺し、彼女の口元に押し付けた。


「さあ、どうぞ……食べていいんですよ。毒なんて入っていませんから……」

「ううっ……この卑怯者! 人でなしっ」


 そう言いながらつい彼女は肉を口に入れてしまった。

 その表情は恍惚とも言えるもので、多分研究にかまけて最近ロクな食事をしていなかったのだろう。


「ご主人様、続きの拷問はワタシがやります」

「い、いや。これはワシがやる」


 ……なんだかマーヤの視線がさっきからかなりキツいような気がする。


 俺が食事をみどりさんに食べさせている間に、ドグローンはデラヤ・ヴァイデスに到着した。

 そしてドグローンの入り口ドアを激しく開けて入ってきた人物がいた。


「ブキミーダ! ブキミーダはおるかっ!?」


 二メートル越えの巨体にこの野太くてデカい声は、間違いない。彼はバルガル将軍だ。

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