第二話 巨大獣ゲスラー 母の悲劇!

第二話 巨大獣ゲスラー 母の悲劇! 1

「ご主人様、この地球人の女……どうしますか?」

「う、うむ。ご苦労! 捕らえて連れ帰る!」


 どうしてこうなるんだよー!?

 これはこれで俺がガッダインチームに恨まれるの確定じゃないか!


 王者エメラインでは主人公、とどろき和也かずやの母親が古代レムリア人で、後半はまだ見ぬ母親を巡る長富監督お得意のロマン路線だったので、母親を訪ねる話だったが。


 これじゃガッダイン5大百科に書いていた監督インタビューの没ネタ、父親が実は逃亡してきたダバール星人でシャールケンと天涯孤独のはずの紅井龍也が兄弟で父親を取り返す話が母親になっただけじゃないかー!

 まあこの展開が没になった理由は、ダバール星人を青肌に設定してしまったのでハーフ設定が使えなくなった為というトホホな理由なのだが……。


 マーヤちゃんマジで優秀だけど、ここまでポンコツキャラだったとは……。

 本人真面目で健気なだけになおさらに切なくなってくるわ。


「承知致しました、ご主人様。戦闘データは録画済みですので、帰還致します」

「ガッダインチームよ、覚えていろっ!」


 一応捨て台詞も重要。

 俺が怪しまれない為だ。


 俺とマーヤは移動要塞ドグローンで大気圏を離脱し、地球から帰還した。


 成り行きとはいえ……俺とマーヤは北原千草の母親、みどりを連れて帰る事になってしまった……。


「マーヤよ、地球人の女は今どうなっている?」

「はい、重要な人質になるかと思い、気を失っていた所をメディカルルームで治療中ですわ」


 そういうとこが優秀だからなおさらに困るんだよな……。

 まあ今回はGJだ。

 もし海水をたらふく飲んでいて気を失っていたら死亡確率が上がってしまう。

 みどりさんには何が何でも生きていてもらわないと。


 とりあえず第二話の展開を思い出そう……。


 ――ガッダイン5大百科によると……。

 瀕死のみどりは北原未来要塞ベースに搬送され、治療の甲斐なく……千草の手を握りながら息を引き取る。

 俺のせいだと苦悩する龍也を、涙を流しながら千草が慰め、悲しみを怒りに変え、ダバール星人と戦う事を誓う。

 そしてダバール星人のバルガル将軍が出撃し、巨大獣ゲスラ―の空中攻撃で北原未来要塞ベースに攻め込むが合体したガッダイン5にボコボコにされてゲスラーは爆発。


 戦闘後、母親の墓に参った千草が夜一人で泣いているのを龍也が見ているところで、青木流にお前があの子の母親を殺したんだと挑発され、二人で大ゲンカ。

 それを千草に止められ、険悪な雰囲気のまま第二話は終了。――


 うむ、やはり浜野監督やり過ぎ感有りすぎ。

 これでもかとまでに主人公達に試練を与えてドラマを作るのがこの人の作風だが、この第二話はオープニング映像の龍也と流のケンカシーンそのままフィルム使い回しだった。

 というか、むしろオープニング映像をそのまま二話に使ったのかもしれない。


 まあ一旦デラヤ・ヴァイデスに帰る事にしよう。

 馬鹿にされて怒られはするが、まだ処刑フラグまでは行かない。

 戻ったところで特にリスクは無い。


 こんなもん、前の人生でのデスマーチな仕事に比べれば特に問題も無い。

 意外に悪の組織ってブラックに見えてホワイトかもしれない。


 それよりも……みどりさんをどういう風にするか、それが問題だ。


「う……うぅ。こ、ここは!?」

「気が付いたか地球人の女、大人しくすれば何もしない」

「くっ! この侵略者めっ、これでも食らいなさいっ」


 みどりさん! 何で貴女そんな物騒な武器持ってるんですか! 彼女は銃を構えた。


「ご主人様、危ないっ!」


 マーヤがみどりさんを羽交い絞めにした。

 仕方が無い、とりあえず大人しくしてもらおう。

 マーヤが全身から電撃を放った。


「ああっ!」


 みどりさんは瞬間の電圧で気を失ってしまったようだ。

 まあ命に別状は無さそうなので、大人しくしてもらおう。

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