第一話 巨大獣ドドンガー 東京侵略作戦! 4

「良かろう! ブキミーダ参謀長よ、発言を許す!」


 俺の目の前にいる青肌の人物はシャールケン提督。

 彼はこのロボアニメ、超電磁メカ・ガッダイン5(ゴー)の敵、ダバール星人の司令官である。

 ギリシャ彫刻系の彫りの深い鼻の高いイケメンキャラで、本放送当時お姉さま方の心をガッチリと鷲掴みにしていた。

 男子禁制の彼のファンクラブまで当時存在したといわれている。


 前作のロボアニメ、『王者エメライン』の『プリンスウォーゼン』の流れをくむ悪役美形キャラだ。

 王者エメラインはプリンスウォーゼン退場前はオカルト路線の浜野監督、プリンスウォーゼン退場後はロマン路線の長富監督に交代。

 なお、このアニメ監督がお互い監督交代した際に手がけた作品は――明けの明星――。フランスをモチーフにした架空の国で革命前夜、双子の生き別れの美人姉妹がお互いに義賊、明けの明星と男装の警備隊長として対決する大河少女アニメだった。


『王者エメライン』の『プリンスウォーゼン』

『超電磁メカ・ガッダイン5』の『シャールケン提督』

『獣将ダイノス』の『アズベル大将軍』

『未来戦士エルオリオス』の『クノッヘン総司令』


 彼は当時の長富ロボアニメの悪役美形キャラ四人衆の一人とも言える。

 これらのキャラがいたからこそ、――機動装機ガンボーグ――の『ツァーリ・ミゼラブル大佐』が生まれたとも言われている。


 本来はツァーリ大佐もシャールケンの声優である市原氏が担当するはずだったが、オーディションで後輩に譲ったという話もある。

 

 まあ何だ言えば、典型的悪役美形キャラの元祖というべきか。


「どうした、ブキミーダ参謀長。発言を許すと言ったのに、何も答えぬのか?」

「い、いえ。シャールケン提督。私に考えがございまして」

「フン、小人閑居して不善をなす。どうせロクな考えでもあるまい」


 昔のロボアニメとか子供向け作品って何気に故事成語とか敵のボスクラスが使ってたよなー。パワーファイターのはずのバルガル将軍にまさかこんな事を言われるとは……。


「い、いえ。バルガル将軍殿、今回の作戦はワシの肝入りですので」


 とりあえず作中に合わせ、人前では一人称を俺ではなくワシにしておこう。

 下手に怪しまれても困る。


「ほう、そこまで言うのなら聞かせてもらおうか」

「よせ、バルガル。無駄に煽る必要も無い」

「そうですわ、どうせ没にされる程度の事なのですから」


 いきなり姿を現したこの女はミザーリン諜報官。


 まあ簡単に言えばスパイ部門担当というべきか。

 女スパイであってキツめの顔だが相当の美人で、スタイルはメイドロイドのマーヤやガッダインチームの北原千草よりも良い。

 地球人に変装したりして破壊工作や情報かく乱を専門に行う女で、前線で戦うタイプではなかった。


 だがシャールケン死亡後、その仇を取らんと巨大獣ベミミに自ら乗り込みガッダインチームに戦いを挑み、最後はシャールケンの名前を叫びながら死亡するキャラだ。


 後に出たロボットシミュレーションゲームではシリーズによってはシャールケン共々後半で説得すれば仲間入りするが、その際には巨大獣ベミミが思ったより強く、改造すれば二軍にならずラストバトルまで連れていける性能だった。


「どうしたの? ブキミーダ。いつもながら貧相な顔よね」


 この女、ブキミーダを徹底的に嫌っていて何時もバカにしていた。


「い、いえ。ミザーリン殿。顔は生まれつきでして……仕方の無いものかと」

「あら、アンタがわたくしに口答えするなんて、何があったのかしら」


 どうやら原作ではブキミーダはミザーリンに惚れていて何だかんだと下僕のように動いていたようだが、残念ながら彼女は俺の趣味ではない。

 だからわざわざ媚を売る必要も無いのだ。


「いえ、それよりも地球侵略作戦の事を話しませんと」

「うむ、そうだな。それで、ブキミーダよ、どのような作戦を実行するのだ!」

「はい、地球軍には我々の敵になるような戦力はどう考えても存在しません。ですから首都東京を真っ先に攻撃するよりはその周りのヨコスカやヨコタを狙った方がいいかと」

「何を言うのっ。わたくしが手に入れた情報によれば、相模湾近海にある北原未来要塞ベース、ここにとてつもない超兵器があるのは確実です! ここを真っ先に攻めるべきですわ」


 だからそれをやられると第一話の再現でガッダインチームの母親が特攻する事になるんだってば……!

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