第一話 巨大獣ドドンガー 東京侵略作戦! 3
朝食はとても味気なく、何かの固形で、なんというか煮凝りを濃くしてさらにガチガチに固めたようなものだった。
「どうされましたか? いつもみたいにマズいと吐いて叩きつけますか?」
一体どういうキャラだったんだ? ブキミーダは。
「いや、そんな事はしないが、もし良ければ何だが……地球人の食事を持って来てくれないか?」
「あのドレイどものエサですか? ご主人様はドレイと同じ物を食べるのですか?」
「い、いやな。とりあえず、敵を知るにはまず食生活から……というわけで、奴隷に与えている物を持って来てくれ」
「わかりました。ご主人様」
メイドロイドのマーヤは上半身だけでフロート移動をしながら食事を持ってきた。
「何だこれはー!? こんな生ゴミを食べろというのか?」
「これがドレイ共の食事です。ご主人様がそう決めたじゃないですか」
ダメだ、こんな物食べたら間違いなくお腹を壊す。
俺は何か穀物や材料は無いか聞いてみた。
「マーヤ、何か小麦粉とかコメとか……そういう穀物とかは無いのか?」
「はい、これでしたらございます。いかがなさいますか?」
マーヤが用意したのは小麦粉と玉子だった。
「ドレイの女の持ち物を没収した物です、これでよろしいでしょうか?」
「あ、ああ。コレで良い」
しかしいきなり攫われた上、買い物途中だった食料を奪われた人には可哀そうだが、オレも何かを食べないと体がもたない。
俺は部屋にあったコンロで自炊を始めた。
マーヤは不思議そうに俺を見つめている。
俺は玉子焼きとホットケーキを作り、食べた。
「マーヤ、もし地球人の食事があればそれを調べておいてくれるか?」
「はい、ご主人様」
PIPIPI! PIPIPI!!
食事をしている俺にテレビ電話が入った。
「ブキミーダ、ブキミーダ! 返事をしろっ!」
物凄くドスの利いた悪の帝王や軍人といった聞き覚えのある声がテレビ電話から聞こえてきた。
その声は、昔から見ていたロボアニメの敵幹部や特撮の悪の首領、ある時はグルメ漫画のアニメのイタリア料理主任等で聞き覚えのある声だった。
まあ一番印象の強いのは、王者キャリバイザーのラスボス、『ダイナボス』の声。
グレートキャリバイザー対ダイナボスの月面決戦は今でも語り草だ。
「はいっ! いかがしましたか?」
俺はつい、エンジニアだった時の対応で上司らしき男に返事をした。
「何をしている、早く来い。シャールケン提督がお待ちだ!」
この声……ひょっとしてバルガル将軍?
――ジャン・バルガル将軍――
ダバール星人一の猛者で二メートル越えの傷だらけの大男。
力任せの作戦を好むが、それが好きなだけであって普通の作戦も命令ならばこなす武人。
卑怯な事を嫌い正々堂々とした戦いを好む。
地球人を非力な種族だとバカにしていたが、ガッダインチームの事は戦いの中で認め合い、全力で戦うが敗北し捕虜になる。
捕虜交換の際……千草によって地球人の優しさに触れ、地球とダバールの和平の使者となるはずだったが、原作のブキミーダにより爆殺されて死亡。
俺がガッダイン5大百科や本編の内容で覚えているのがこんな感じだ。
そのバルガル将軍が俺を呼んでいる。
どうやら原作一話の地球侵略作戦の会議が始まるようだ。
第一話の巨大獣――ガッダイン5における敵のやられメカ――は巨大獣ドドンガー。
ブキミーダ参謀長が小手調べに出して東京で暴れ、その後北原未来要塞ベースに侵攻。
まだ完成前のガッダイン5を襲うつもりが、プロトマシンのジェットに乗った北原千草の母親、みどりの捨て身の特効で時間稼ぎをされた事によりガッダインチームが出撃。
その後合体したガッダイン5の超電磁プロペラの餌食になり、超電磁スマッシュで爆発。
この展開そのままでは間違いなく、俺がブキミーダのままガッダインチームに母親の仇として恨まれる事になるっ!
それだけは絶対に避けないと!
このブキミーダ参謀長……あまりの非道卑劣な作戦の数々に最後は味方すら裏切り、自己保身をしようとして四十三話で処刑される……。
冗談じゃない! 残り四十三話で俺が処刑されるなんてまっぴらだっ!
俺はどうにか処刑されない方法を考える事にした。
そして提案事項があると手を挙げた。
「失礼ですがよろしいかな?」
俺はずっとこの作品を見ていたので、ブキミーダの口癖なども分かっている。
俺の行動は特にダバール星人達には怪しまれなかった。
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