第2話 喧嘩する程、仲が良(ry

少年が少女だった。

いやお前何を言ってんの?って思うかもしれないが。

あくまで事実しか述べてない。

体操着姿の少年というか王子様が実は...制服を着ると少女だった。

信じられないのだが。


「お前...どんな手を使った...こんな真似を...」

「いやいや待て待て。片言で言うな。...俺は何もしてない」

「嘘吐けテメェコラァ!!!!!」

「落ち着けカス!!!!!」

「誰がカスだ!」

「お前だよ!」


そして言い争って闘う俺。

何でこんな事になってんのか。

そう思いながら俺はそんなクラスメイトの追求を逃れる様にトイレに向かった。


それから俺はトイレを済ませて手を洗い外に出る。

そうしてから口を覆う。

王子様があんな美少女だったなんてな。


「不思議なご縁もあったが...もう関わる事はないな」


そう納得して俺は歩いて教室に戻る。

で。

また追及されそうになったがタイミング通りチャイムが鳴った。

俺はその事に「やれやれ」と呟きながら授業を受ける。

それで俺は住んでいるマンションに帰宅して愕然としてしまった。

何故か?それは...。



隣に誰か引っ越して来たんだが。

いや、引っ越して来る予定などは知っていた。

だがその隣人になる相手は王子様...では無く七瀬だった。

え?、となる。


「...え?お住まいお隣だったんですか?」


タイミングがバッチリな感じで廊下にある段ボールを運んでいる七瀬に遭遇。

俺は唖然としながら首を振る。

それから「...今から一人暮らしか?」と聞いてみる。

すると七瀬は口篭った。


「...はい...」


何も言わなくなる。

俺はその事にまた溜息を吐いてからコンビニ弁当を地面に置いてから「手伝う」と言いながら七瀬の手から段ボールを取る。

七瀬の部屋に運ぶ。

その事に七瀬は「え...あ、ありがとうございます」と恐縮な感じで言いながら俺を見ていた。


「あの」

「...何だ」

「お礼しないとですね」

「...いや。良い。俺はあくまで手伝っているだけ」

「...でも...」

「良いから。...こういうのはお互い様って言うだろ」

「...」


七瀬は俺を見ながら笑みを浮かべる。

俺はその事に「...」となって七瀬の顔をまじまじと見る。

しかし王子様と何故誤解されていたのだろうか。

そう思いながら、だ。

すると七瀬はみるみる赤面していった。


「あ、す、すまん」

「...いえ...見ていた私のせいですね」

「...聞いても良いか」

「はい」

「...お前何で男装していた」

「男装をしていた、じゃなくて、取り返しがつかなくなっただけ、です」


取り返しがつかない?

俺は意味が分からないまま七瀬を見る。

七瀬は俯いてから少しだけ沈黙してから顔を上げる。

それから笑みを浮かべた。


「取り返しがつかなくなった理由は...聞かないで下さい」

「あ、ああ」

「...お手伝い、ありがとうございます」

「...ああ」


そして俺は深刻そうな顔から笑顔になった七瀬を見てから5個の段ボールを運び終えてからコンビニ弁当を持つ。

それから「じゃあ。隣人として宜しくな」と言ってから踵を返す。

すると「あの」と声がした。


「...?...どうした」

「お、お礼...を」

「だから良いって。...ゲンナマとか要らないからな?俺はそんなの要らない」

「...はい...あ...」


俺の手に持っているコンビニ弁当を見る七瀬。

まじまじとコンビニ弁当を見てくる。

そして手を叩いて電球を頭に浮かび上がらせる様にする。

ん?


「あの。手料理食べませんか」

「...誰のだ?」

「私...お料理得意なんです。...あくまで身体に良く無いですよ。塩分高いですよ?コンビニ弁当...」

「な」


その言葉に俺は目をパチクリする。

それから「...いや。良いよ。手間になるしな」と苦笑した。

そして七瀬を見る。

だが七瀬は「...受け取った恩は返さないといけません。...あの時だって。あの人に言われましたしね。...だから私、このタイミングで貴方に返します」と笑顔になる。


「大丈夫です。全然手間じゃないです」

「というかそれで食べるにせよどこで食べるんだ。...俺の部屋に上がる訳にはいかないだろ。女子を上がらせるには...」

「私の部屋に来てくれたら」

「...何だって?」


俺は目をまたパチクリした。

それから赤面する。

今何つったコイツ...私の部屋?

女子の部屋?いや、嘘だろ。

流石にそれはいけない。


「いや待て。俺の言っているのと同じだろ」

「え?」

「いやいや。あくまで女子の部屋に男1人って...」

「私の部屋なら大丈夫です」

「いや。何が大丈夫なのか先ず根拠を教えてくれ」


だが七瀬は「大丈夫ですよ」と言いながらスカートを振る返し自室に入る。

俺はその事に「...」となりながら苦笑いを浮かべる。

それから俺は盛大に溜息を吐いた。

どうしようもない。

断るにも断れないだろう。


「...仕方が無い。今日だけだ」


そう言いながら俺は七瀬の部屋に靴を脱いで入る。

そして段ボール箱が積み上がっている部屋を見渡した。

机...本棚。

本、ぬいぐるみ。


「...どこから引っ越して来たんだ?お前は」

「この街の遠くです」

「...そうなんだな」

「通学の問題でこうなりました」

「...そうか。立地も良いしなここ」

「はい」


そして笑顔になってから七瀬は直ぐに「じゃあご飯作ります。すいません。具材が中途半端な感じで...炒めものとかでも良いですか」と言ってくる。

俺は肩をすくめた。


「何でも良い。...苦手なものとか無いから」

「ありがとうございます」


あくまで謎が多いな。

そう思いながらも聞かない様にしながら俺はエプロンをしてから髪留めを着けた七瀬を見る。

美少女は何を着ても美少女、か。

しかしまさかこんな事になるとはな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る