不良に襲われていた体操着の王子様を助けたら実際は何故か体操着ばかり着ている美少女だった。その翌日からスカートを履いて来る様になったんだが?

アキノリ@pokkey11.1

第一章 花咲く世界

...は?

第1話 その姿、花咲く

ある日の事だった。

女子生徒に非常に人気な王子様が居た。

その王子様は簡単に言えば、白馬の王子様、と称されかなり人気の男子生徒だった。

そんな王子様が...暴漢に襲われていた。


「...マジかよ」


俺、八幡道兼(やはたみちかね)はそんな青ざめている顔の王子様を見ていた。

偶然通りがかったけど...でもこのまま放って置くのもな。

これが女子生徒だったら良かったんだが。



俺、八幡道兼はそんなに優秀では無い。


成績も普通。

容姿も普通。


だけど太るのを防止する為に空手をやっていた。

そして鍛えていた。

何故かといえば本当に顔がイマイチなので太るのを防止する為。

まあ前みたいな俺の体型にはなりたく無かった。

その事もあってバキバキに鍛えていた。


「...」


俺は外の景色を見る。

それから溜息を吐いてから立ち上がる。

帰るか。

そう思いながら俺は掃除用具を取り出しているクラスメイトに挨拶して帰宅する。

大欠伸をしながら歩いていると「や、止めて下さい」と声がした。

俺は「?」を浮かべて声の...って路地じゃねーか。


「...?」


首を傾げながら俺は覗き込む。

そこに...あれ?

確か1年棒に愛されている王子様じゃないか。

男が男に襲われていた。

学校でイケメンと称されている男子生徒。


「なあ。金を寄越せよ」


その男子が襲われていた。

それも大学生に、だ。

俺は盛大に溜息を吐いて観察する。

だが事態は悪い方向に動く。

掴み掛かろうとしている。

これで放っておくのもなぁ。


「おい」


俺は鞄を下ろす。

それから絡まれていた王子様の腕を握る。

そして俺の背後にガバッと立たせ俺は大学生達を見つめる。

大学生は「あ?」となりながら俺を見る。


「寄ってたかって情けないだろ。こんな男子1人に」

「いやいや。金貸してって言っただけだが?」

「そーそー」


2人組。

俺は「いやいや、じゃねーよ」と言いながら俺は「通報したからな」と言う。

すると2人組は「チッ。通報しやがったのかよ」と踵を返す。

それから俺は安堵しながら背後を見る。

イケメンの...あまり身長の高くない王子様が俺をキョトンと見ていた。


「大丈夫か」

「あ、はい...貴方は...」

「あー。俺は通行人。だから問題無しだ」

「え、で、でも...貴方は...わた...じゃ無かった。僕と同じ高校の?」

「ああ。まあ助けてやったけど。恩返しとか要らないからな。偶然だ」


そして俺は鞄を持って「じゃーな」と言ってからそのまま去る。

うん。良い事をした気分だ。

そう思いながら俺は帰宅をした。

そうして翌日になる。

騒動が起こった。



いつもの様に学校に登校する。

すると「なあ。八幡」と興奮気味に声をかけてくる奴が居た。

それは遠薙だった。

俺のクラスの眼鏡かけている俺の友人。

遠薙元彦(とおなぎもとひこ)。


「聞いたか?」

「何をだよ。興奮すんな。キモい」

「美少女」

「...は?お前遂に地に落ちたか」

「ちげーわ。話を最後まで聞け。...美少女が現れた」

「...キモいな」

「お前な」


何を言ってんだこのクズ。

そう思いながら俺は「1年棒に...美少女が現れたんだよ」と言ってくる遠薙。

俺は「...1年棒に美少女?そんなに噂になる奴居たか?」と話す。


「ああ。いきなりらしい」

「...はぁ?お前も訳が分からん事を言う...」

「正確には王子様が美少女になった」

「...ますます訳が分からん」


この眼鏡。何を言ってんだ。

そう思いながら俺は盛大に溜息を吐きながら教科書を机に出す。

それから俺は教科書を仕舞って予定表を確認する。

「いやお前。興味無いのかよー」と俺の横に腰掛ける遠薙。


「無いな。...そもそも美男子が美少女?アホ吐かせ」

「いやマジなんだって」

「あり得ないだろ。どうやって今まで誤魔化していたんだよ」

「それが...」


そこまで言った時。

飴玉を転がす様な感じの声色が聞こえた。

「あの」という声。

何というか女子の声。

だけど何だこの声...聞き覚えが?


「マジかよ...」

「美少女が...来た」

「あれぇ!?」


とか男子達が騒ぎ始め廊下に向かって言い出す。

女子達に至っては「可愛い!」とか「お人形さんみたい!」とかキャイキャイ騒ぐ。

何だよ耳障りな。

そう思いながら俺は教室の外を見る。

そして驚愕した。


「...な...」


教室に入って来た少女(?)。

俺の前で止まる。


猛烈に可愛い。

というか肌がフランス人形の如しであり。

肩までの髪の少女。

黒髪がアクセントを出しており...小顔。

そんじょそこらのアイドル以上級のレアだと思うが...あれ?


美男子...いや!?...美、美少女?

は?は...!?


「...貴方は...八幡道兼さんですか?」

「あ、ああ。俺が八幡だけど」

「昨日はありがとうございました。...私は...七瀬光って言います」

「...!!!!?」


そこに居たのは...あの体操着ばかり着ている王子様=少年(?)だった。

スカートを履いて...そしてリボンをしている。

そしてブレザーも女子のもの。

ま、まさか。


「まさか...お、お前...女だったのか!?」

「...はい」


彼女は愛おしい様な幸せそうな顔で俺を見る。

俺は「...!」となりながら遠薙に「ちょ、ま。おま、マジにどういう事だ!!!!!」とガッタンガッタンと前後に揺らされるが。

だけどそんな事は今はダメージが無い。


衝撃的すぎる。

一体何故、あの男子の様な格好をしていたんだコイツ。

そう思いながら俺は七瀬を見た。


これは俺と七瀬の...日常の話を描いた物語だ。

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