退魔師としての宿命を背負ったヒトミと、過去の記憶を抱えながらも未来を見据えるチアキが織りなす王道の退魔バトルファンタジー。二人の価値観の対立を軸に、緊張感のある物語が展開します。

　妖と戦う退魔師たち。ヒトミはある妖を討つために剣を振るい、チアキは過去の記憶を頼りに戦いの意味を模索します。戦闘の激しさだけでなく、退魔師組織の在り方や、妖との関係性にも焦点が当てられ、単なる勧善懲悪に終わらないストーリーです。

　ヒトミは苛烈な信念を持ち、戦いを通して成長していき、チアキは知略を駆使しつつ、葛藤の中で己の道を見出そうとします。二人は対照的ながら互いに影響を与え合います。二人のやり取りには緊張感があり、それでいて信頼も感じられます。

　研ぎ澄まされたシンプルな描写と、緊張感のある台詞。戦闘シーンではスピード感のある文体が用いられ、読者を一瞬で戦場へと引き込みます。静寂と激突のコントラストが巧みに描かれており、緩急のついた表現がうまいです。

　剣と術が交錯する退魔バトル。キャラクターの成長と葛藤。ヒトミとチアキ、それぞれの選択がどのような未来を切り開くのか、この先も楽しみな作品です。