この世界を生き抜くためには



1 この世界を生き抜くためには



「やっぱり、俺、悪役かよ!」


そんなことを一人呟き、苛立ちに任せて部屋を一人歩き回る。これから考え事をするからとメイドを追い出し、また部屋を歩き回る。


「このままじゃやばい! どうすればいいんだ!!」


このままじゃ、僕は主人公を虐め、主人公とヒロインが住む孤児院が潰れるのを見逃してしまう! しかも、中学は無理やり主人公とヒロインを別の学校に話したり、高校入試でザマァされたり、果てはもう一人の主人公を手篭めにしようとしたのがバレて高校を退学、家からも追い出されてのたれ死んでしまうじゃないか!!


「だめだ。一旦、落ち着こう。」


ソファーに腰掛け、メイドが入れてくれたお茶を飲む。ほんの少し、アイラダチが収まる。苛立ちがおさまった分、頭が冴えてきた。


「そうだ。最最の記憶を思い出せば、破滅ルートからは抜けられるかもしれない!」


紅茶を飲み干し、ライティングデスクの前に座る。引き出しから紙と万年筆を取り出して、「最最」の記憶を紙に書き出すことにした。初めは思い出せる限りのことを紙に書きつけて行った。二時間ほどで覚えていることは全て書き出せた。


「次は時系列に並べるか。」


今度は紙束を用意して、時系列に沿って、おおよその日付とともに書き記した。窓から差し込む灯りが薄くなった頃、俺の記憶の中にある「最最」は全て書き出せた。


そして、もう一度、できた紙を読む。読みおえて、僕は新しい紙に三つの行動指針を書いた。


一つ、誰に対しても紳士的に接すること


一つ、頭脳、肉体、戦闘、精神の鍛錬に努める。


一つ、シナリオブレイクも仕方なし


俺はこの三つの行動指針に沿って生きることを、心に強く刻んだ。


「絶対にこの世界で生き残ってやるぞ!」

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