第8話
亜子ちゃんがママの部屋の片付けを始めた。何がきっかけで何を思ったのか、それはもう物凄い勢いで開始された。
「亜子ちゃん、」
心配になって声をかけると、亜子ちゃんはとぼけた間抜け面で僕を見た。
「本当に全部捨てちゃうの?」
僕が珍しく遠慮がちにそう聞くと、
「うん、」
と、亜子ちゃんは随分とあっさり頷いた。
「残す物を選んでいたら全部捨てられなくなっちゃうから、全部捨てる」
亜子ちゃんはそう言って、再び僕が口を開くより早く、中断した手を動かし始めた。
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