背中を押す。
恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界
背中を押す
幼い頃から一緒の二人。黄白きしろと藍灰あいはい。
黄白はいつも藍灰を応援してきた。空腹を何とかするために一緒に盗みもやった、スラム街から抜け出すために勉強も頑張った、戦う技術も身につけた。
やっとスラム街から出る準備が整った頃。藍灰が死にたいと言い出した。藍灰はスラム住民と平民から暴力を振るわれたからだ。
藍灰は、黄白が応援してくれる、と思った。黄白は分かったとだけ言うと歩き出した。藍灰は付いて行った。街を出て数時間歩いた。歩いている間、互いに何も話さなかった。
黄白は崖で立ち止まる。藍灰も崖のところに行く。藍灰は美しい景色に息を呑んだ、これを見せたかったのかと、そう思った。
崖ギリギリまで進んでいく藍灰。その後ろを行く黄白。
黄白は「ポンッ」と藍灰の背中を押した。藍灰は驚いた顔で黄白の顔を見たまま落ちていった。
「今回も駄目だったか。アイツにはずっと前向きでいてほしいんだ。だからあいつの応援をする、背中を押す。次に期待だ。」
行きたい方向へ背中を押してあげる。
それがいいほうか悪いほうかなんて関係ない。
この世界は、輪廻転生があると分かっている。
私は記憶を引き継いだまま転生する方法を知っている。
アイツが進み続ける世界となるまで、私は止まらない。
俯く黄白。黄白は藍灰の後を追うように崖から飛び降りる。
背中を押す。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro
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