第15話 大樹魔法

 避難を大方済ませ、ミタリアさんやローラと合流する。急いで団長たちの方へ向かおうとしたが、ミタリアさんに止められてしまった。


「あんなでかい木を生やす魔法なんてあたしは知らない!だから範囲がわからないの!つまりは…私たちがどうするの!?」


「ぁ……。」


 そんなこと考えていなかった。俺は自分の満足のために戦うことしか意識していなかった。今ここで、俺にできることは、避難した方の家族の安否確認などをして、本当に逃げ遅れた人がいないか確かめることだ。


「わかりました...もし逃げ遅れた人がいたら、俺が救います!」


「んふ…それでよし!後輩くん、♡」


 一方クロノスは…


「いよっと...で?お前誰だ?」


「あぁい?…ニヒッ、」


 巨木の下に立つ不気味な顔をした長身の男がいた。組織的なテロなのか、個人的な犯行なのかわからないので、クロノスは慎重になる。それもそのはず、もし単身ならば...だ。


「俺ぁ...大樹魔法の使い手...モーリスだよ...ニヒッ!」


「…気色悪ぃ顔だこと、」


「ナニィ?…」ブチブチ(怒)


 大木の根が巨大な手型になり、クロノスめがけて上から振り下ろされる。だが、クロノスにそんなモノは効かない。なぜなら…


「なっ!…なんだその"禍々まがまがしい刀"は!?…」


 大木のてのひらは一瞬にして黒きやいばに引き裂かれ、根は朽ちていた...。それを見て多少驚くも、依然としてニヤけ面の絶えないモーリスにクロノスは疑いの目を向けた。


「お前ぇ...?…」


「ニヒィ…?…」


(!?…急な魔力の増幅!?)


 クロノスが気付いたときには.........もう遅かった。


「?!…ハートォ!!!あいつらに早く!!!」


「"大樹魔法" "大樹吸引リーフメモリー"!!!」


 続く

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