第16話 あの感覚

「おわぁ!?…」


 逃げ遅れた人がいないことを確認し、安堵していたのもつかの間。突然大量の太い根が地面から這い上がってくるかのように勢いをなし伸びてきたのだ。俺は突然のことに対応できずにいたが、ミタリアさんとローラは、人々を守る準備をする。


「こっ、これ!地面から生えてきてる!一箇所に集まりすぎるのも犠牲が出て危ないかも!…」


「確かにそうね...あっ!、ローラちゃん!なんとか氷魔法で地面を作り出して空中に避難できないかしら...?」


「っ...!私は...魔術が苦手で...その、未熟だから...、」


「そんなん誰が決めたんだよッ!!!!」


「え…?///」


「何があったって、!!!やってくれ、頼む。俺はやっぱ団長のとこ行く。」


「ちょ、あんた何もできないでしょ!?だめよハオ!先輩の私が許さない。」


 そうミタリアさんは言ったが、俺は無視した。どんな時も団長のようにいたいと思ったからだ。


「………わかったハオ。私、やる。」


「…よし!いけぇ!」


 そうすると、ちょうどいいというような顔をして吹き出す噴水の水を凍らせ、大きな氷柱にしてそこから足場を作ってローラは皆を空中に留めた。そうすると、ローラは俺を呼び止めた。


「ありがとーハオ!ついでに足場を作るから!そこからは建物の屋根を走ってあそこに行きなさい!ハオ!」


「…おう!!!」


 そうして足場を駆けた俺は、そのまま制止するミタリアさんの指示を聞かず、屋根を走り出した。そうして残り数百メートルになったころ、足がものすごく熱くなった。


(なっ、なんだこれ!?…)


 そうして思い切って両足で踏ん張り、俺は思いっきり飛び出した。それはまるで試験会場で観客席から飛んだ時と同じような感覚だった。


「うぉわああああああ!!!……!!、」


 団長の姿が見えた、禍々まがまがしい刀を備え、振りかざしているその姿はとてもかっこよかった。


「ん…あ、着地どうしよう...うわああああああああああああ!!!!」


 続く

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