第13話 大切なモノのために

「…!」


 一人、基地のベランダ的な場所から夜空を眺めてグラスを持つローラがいた。俺はもちろんすぐに友好的になる気は無いが、とりあえず話しかけてみた。


「なぁ...お前、どこがどう未熟なんだ?王族の血だろ?…」


「……んなそうやって、」


「えっ?何だよ、悪かったって!」


「ふん、私は王族の者なんだから。あんたも立場わきまえてまずは呼びをしないことね...このちんちくりんはね毛坊主!!」


「はっはぁ!?どこが!…」


「私ね............。」


 急に空気が変わる。ローラが先程からは想像できない色気のある表情をし出したからだ。これはきっと満月の月明かりのせいだと心の中で誤魔化して俺は彼女を見つめ、話を真剣に聞こうとする。


「私ね、があるの。その何にも換えられないを守れる力がどうしても欲しくて騎士団を目指したの...。でも、"あの件"を堺にその大切なモノの見た目や声を思い出せなくなってしまったの。」


「…人なのか、。」


「えぇ......。」


 そうしてローラと話していると、あっという間に時は過ぎ、満月も半分ほど雲に隠れてしまった。俺は息をのんだ。あまりのローラの美しさに。読者に言っておこう!これは"圧倒的に"恋ではない!!!そうして変な余韻に浸っていると、


「ありゃぁ〜?ここも恋の予感〜?♡」


「「なっ!?」」


 いきなり酔ったミタリアさんが絡んできたのだ。アヨウはいつの間にか部屋に行ったそうで、団長も酔っていてハートさんはお手洗いなのか席を立っていた。


「ちょっと!なによミタリア!私がこんなやつと!?…グビグビ...。」


 ローラが焦って持っていた飲み物を一気飲みした。だがそれは…


「ちょ!ローラくんそれは!…」


 たまたま戻り、焦って駆けつけたハートだったが、もう遅かった。


 続く

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