第2話 「おにいちゃん!おきて~~~!!!」

「おにいちゃん!おきて~~~!!!」


 誰だ?俺の睡眠を妨害するのは。


「おきてってばーーーー!!!」


 うるさいな。耳元でキャンキャンわめきやがって。


「早くおきないと、遅刻するよ~~~!!!」


 遅刻?いったい何に遅刻するっていうんだ?


「学校はじまっちゃうよーーーー!!!」


 学校?……そうか、俺はたしかダンジョン学園に編入したんだ。今日は記念すべき初登校日だ。


「おきないと、ダイブしちゃうぞーーーー!!!」


 なんだ?何をする気だ?


「わーーーーーーー!!!!!」


 バゴンッ!!!という音とともに俺の体に衝撃が加わった。だが、たいしたダメージはないようだ。何かが乗っているのか?それほど重くはない。



 俺は目を覚ました。



 ・・・



「誰だお前?」


 俺の上に乗っていたのは、見慣れない少女。金髪のツインテールで小柄だ。小学生くらいか?


「忘れちゃったの?おにいちゃんの妹だよ???」


「妹?」


 俺に妹などいないはずだが。俺は深く思考する。1000年前の消えかかったノイズのような記憶。


「あがあああ!!!」


 考えていたら頭がひどく痛くなった。


「だいじょうぶ!?おにいちゃん!!」


 妹はひどく心配そうに俺を見つめている。


「大丈夫だ。記憶が少しおかしいみたいだ。お前は妹の……」


「うんうん」


「妹のヘンリエッタだ!」


「あたり!!!」


 そうだ、彼女は妹のヘンリエッタだ。どうしてそんな大切なことを忘れていたのだろう。


「久しぶりだな」


「うん!ひさしぶり!会いたかったよ。おにいちゃん!!!」


 ヘンリエッタは俺に抱きついてきた。妹は俺のことが大好きなんだ。好感度は100%になっている。もちろん異性としての好きだ。


「それより、おにいちゃん。学校に遅刻するよ!!!」


 そうだった。感動の再会をしている場合じゃない。

 俺は時計を確認する。時間的な余裕はほとんどない。


「すまない、ヘンリエッタ。また学校から帰ってきたら話そう」


「え?わたしも一緒に学校にいくよ!!!」


「そうなのか?」


 ヘンリエッタも編入するのか?全然知らなかった。


「わたしはいつでも、おにいちゃんと一緒だよ!!!」


「そうか」


 よくわからんが、とにかく今は急がなければ。


「1分で支度しろ!!!行くぞ!!!」


「うん!!!」


 俺たちはアパートを飛び出して、ダンジョン学園まで走り出した。

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