2章2の6
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表のたまりには
「
「今、母上からの挨拶を受けているから、そのうち来るんじゃないか」
少し時間がありそうだ。
「ねぇ、
「なんだ?」
「
「あぁ、そのことか。表で言っているわけでもないから大丈夫だろう」
「でも相手は
「んー」
「それは逆さまだ。
「逆さま?」
「
「貴種……」
「『
「ええ、
「そうだ。実際に
「それならば、一層砕けた口調はまずくない?」
「正しい家臣の道、理想の家臣の道からはまずかろう。だが、
「
「
「ええ、そうね」
「偽りの能面ばかりを見せられ続けたら心がおかしくなろう」
「だから、逆さまなのね」
「そうだ、皆が本心を隠すから、俺は本心を隠してはならぬ。俺は
玄関の奥から
「待たせたのう」
「いえ」
「姫、その顔、わしの話でもしておったか?」
図星を
「いえ、あと五日もすれば正月ですので、正月になにをやろうかと話をしておりました」
「さようか。ところであれはなんなのだ?」
「
「いらぬぞ。わしには
「あれらの者は普段、
「うむ、ここで断っては
「はっ、有り難き幸せ」
「ねぇ、
「なんだ?」
「正月の話って何?」
「方便だ」
「
一拍置いて、
「友とはそういうものなのだ」
西から吹き続ける風のいたずらで聞き間違えたかと思えるほどに、
けれど、確かに聞こえた。
――友ね……。
「では、行ってくる」
騎馬が七、八騎、騎馬に乗らない
――友とはそういうものなのだ。
理想の正しい家臣の道よりも、友であることを選んだ
「あっ」
「そう……なのね。お師匠」
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