1章3の3
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
早速、
午後はセイの看病で離れに詰めた。特に手がかかるわけでもなく、いつものように
一晩経った今も、心は締まりのない感じを残している。
「姫さま」
寺から
「どうぞ」
急いで使いが待つお堂に向かい用件を聞くと、
「何か理由を聞いてますか」
「いえ、わたくしはただお連れしろとしか聞いてはおりません」
「そう、わかったわ。すぐに
セイの看病をお
昨日、お
「あら、姫さまから
なんて浮かれていた。
「えぇ、えぇ、大丈夫でございます。初めは本人も恋を恋と認識できないもの。若さまならば
と。
これは付き合いきれない。今日はセイの看病にかこつけて置いてきたけれど、ブーブー
お
しばらくすると、
……。
「あのう……」
堪りかねて
「いや、失礼しました。拙僧もまだまだ人を見る目がないな、と思いまして」
「はぁ」
事情が分からず
「昨夜のことになります。拙僧の元に
「はい」
「二十何年ぶりでしょうか。昔と変わらぬ姿にとても懐かしく、当時受けた御恩の数々をつい昨日のように思い出しました」
「はぁ」
話が分からない。いや、話は分かるのだが、この話がどこに向かっているのか見当がつかず、
それにしても二十年経って姿が変わらないのはすごいことだ。
「その
そう言うと
「拝見してもよろしいでしょうか」
「もちろんですとも。これはすでにあなたの物ですから」
平包みを開いて
「
昨日見せて欲しいと頼んで断られた
「それは元々、
「そんなものを本当に頂いてしまってよろしいのですか」
「ええ、
「ありがとうございます」
「それと姫様、師が欲しいと
「はい」
「
賢いと評判の
「かしこまりました、とお伝えください」
「は、はい」
その後
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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