第4話 良い人

 時は過ぎ琥珀は青年になった。働きに出て、時々藍にプレゼントを持ってくるまでにも成長した。数年前まで道端の草花を持ってきてプレゼントなんてやっていたのに。


「そういえば、藍は何で生活してるの?特に働いているようには見えないけど。」


「数年前の疫病は俺のせいということにされている。また疫病が流行るのを恐れて村の人々が貢物を寄越す。」


「なるほど。」


「そんなの寄越さなくても、俺は死ねないがな。」


「うん。その疫病で僕の両親は死んだ。4つか5つだった。僕にだけうつらなかったのが幸せだったのか。あの時死ねたら。疫病がなければ。」


「でも俺と出逢えた。幸せに不幸は付きものだ。不幸に幸せが付きものかも知れんがな。」


「そうだね。」


「琥珀はよく泣くな。」


「そっちが泣かせてるんでしょ。」


「そのつもりはない。」


「だろうね。」


「そういえば、琥珀に良い人はいないのか?」


「いないよ。僕は、そういうの興味ない。」


「そうか。」


それ以上、言及するのは憚られた。野生の勘というかなんというか。ともかく触れてはいけないみたいだ。

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