第2話 出会い

「オニーサンなんて言う名前なの?」


誰も近寄らない山の上の孤高の男に少年は問うた。


「そうだ。僕に名前つけて。僕名前無いんだ。」


6つか7つの少年は琥珀色の目をしていた。今思えばなんの捻りもないが男は少年を琥珀と呼んだ。少年は男の事を藍と呼んだ。こちらもなんの捻りもない男が藍色の髪をしていたからだ。


「僕ね、孤児なんだ。親は駆け落ちで、頼れる親戚もいないらしい。」


「そうか。」


「藍。僕をここに置いてくれないか?」


藍は悩んだ。一度その存在を認めて懐に入れてしまえば、幸せかも知れない。けれど失う苦しみも付いてくる。どうやったって琥珀は先に死ぬのだ。けれど、天涯孤独の彼をほうって置く訳にもいかない。なにせ、そこら辺で野垂れ死なれたら夢見が悪い。苦肉の判断で琥珀を置くことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る