第3話 家で⁉️
輝人は自宅に帰り、自分の部屋に入った途端、先ほどの出来事が頭から離れなくなった。華乃の柔らかな唇、手の温もり、そして二人だけのあの瞬間――まるで夢の中にいるようだった。
「こんな気持ちになるなんて…」
そう呟きながらベッドに横になったが、心臓の高鳴りは一向に収まらない。気づけば、スマートフォンを手に取り、華乃とのLINEの画面を開いていた。
「今、何してる?」と送ろうとしたが、そんな普通のメッセージでは気持ちが伝わらないような気がして、すぐに打ち直した。何度も文章を考えた末に、ようやく送ったのは短いメッセージだった。
「華乃、今日のこと…ずっと考えてる。」
送信ボタンを押した瞬間、心臓がさらに激しく鼓動した。返事が来るまでの時間がいつもより長く感じられる。だが、しばらくすると、スマートフォンが振動して、華乃からのメッセージが表示された。
「私も、輝人のこと考えてたよ。ずっと…」
その言葉に、輝人は思わず嬉しさで笑みがこぼれた。しかし、次の瞬間、さらに驚くことが起きた。LINEの画面に、華乃からの通話のアイコンが表示されたのだ。
「えっ…通話?」
戸惑いながらも通話をタップすると、少し緊張した声が聞こえてきた。
「もしもし、輝人?」
「華乃…どうしたの?急に通話なんて。」
「ごめん、どうしても声が聞きたくて…文字だけだと、なんだか伝えきれなくて」華乃の声は少し震えていたが、その中に確かな想いが込められているのを感じた。
輝人は一瞬、胸が熱くなった。「俺も、こうして声が聞けて嬉しいよ。やっぱり、華乃の声を聞くと安心する。」
「そう…?良かった…」と華乃はほっとしたように言った。「本当は、さっき別れたばかりなのに、もう輝人のことが恋しくなっちゃって…変だよね?」
「変じゃないよ。俺も、さっきからずっと華乃のことばかり考えてるから」と輝人は正直に答えた。「なんか、今日会ってから、今までよりもっと君のことが好きになった気がする。」
その言葉に、華乃は少し照れたような声で笑った。「嬉しい…ありがとう、輝人。私も、もっと好きになっちゃった。」
電話越しに伝わるお互いの気持ちが、二人の心をより一層近づけていく。しばらくの間、他愛のない会話を続けていたが、輝人はふと聞いてみたいことがあった。
「ねえ、華乃。さっきの…キス、どうだった?」
華乃は一瞬黙り込み、その後、小さな声で答えた。「…すごく、ドキドキした。でも、すごく嬉しかった。」
輝人の心臓が再び高鳴る。「俺も、同じ気持ちだったよ。すごく幸せな気分になった。」
「それなら良かった…」と、華乃はホッとした様子で言った。「輝人…もう少しだけ、このまま話しててもいいかな?今日は、まだ切りたくない。」
「もちろんだよ、俺もまだ君と話していたい」と輝人は優しく答えた。
こうして、二人は夜が更けるまで通話を続けた。言葉だけではなく、心が通じ合う瞬間を何度も感じながら、輝人と華乃は新しい一歩を踏み出していた。
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