第10話

「営業部の森田です―――――で、この放心状態になっているのが今年入社しました角谷です。ご無礼をお詫びします。今後もきつく指導してまいりますので、どうか失礼な態度をお許し下さい」


「はっ!!すみません!!今年の春に入社した角谷でございます!今日はよろしくお願いします!」



何たる失態を!!

仕事中に男に見惚れるだなんて!!


「アハハ、元気だねぇ。宜しくね、瑠璃ちゃん」

「ハイ!宜しくお願いします!」


あぶないあぶない。

でも、清野さんが笑ってくれてよかった。


「・・・・・・じゃあ、行きますか」


一色さんは――――どう思われたかわかんないな。



「失礼します!お世話になっております~」

「いらっしゃいませー!こちらこそいつもお世話になっております。それと、いつも商品を送って頂き大変感謝しております。」

「いえいえ、とんでもございません!いつもモニターになって頂いて助かっています。それで早速なんですけど、先日送らせていただいた件につきまして―――」


上司に合わせるように笑顔を浮かべてお辞儀をするけど、そこには私の魂はすでにない。

体のあちこちにセンサーでもあるように猫様たちの気配を把握しようとしていた。


ここは大事な提携先でもあるけれど、私にとっては天国のような場所。


”あ、いたいた!ひや~~~!かわいい!”


推しを見つけても声に出せないから自分の中だけで思いっきり叫ぶ。

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