五月病

第27話

「本当に来たの?」

「はい、暇なんでどこかに行きましょうよ。今日はお休みですよね?」

「まぁ、そうだけど」

「どこ、行きましょうか?」

「うーん・・・、どこってのはないかな」

「はいはい、じゃあ適当に流しますね」


五月のゴールデン休み。

先輩はあちこちの学校から共同購入の注文がきて忙しそうだったが、初めの一年ということで後半の二日だけ休みをもらえていた。


五月連休の真っ只中だというのに、先輩は何も予定立てをしていないようだった。

もしかしてわざとそうしているのかもしれないけど。


俺が先輩を乗せるのは、自転車からバイクに変わった。



「・・・まだ寒いねぇ――――寒いと眠くなるね・・・」


適当にバイクに乗せて流してたけど、そんな呟きが後ろから聞こえてきたから街に入って適当な店に入って暖かい飲み物を注文した。


「先輩もブラックでいいですよね?」

「ンーー・・・なんでもいい」


「ホットのブラック、二つください」

「はい、かしこまりました。」



「あー・・テーブルがあったかい」


って言いながら机に突っ伏す先輩。

・・・・生気がないっていうか、日に日にダメダメ人間になってるな。


「先輩?」

「うん?」

「自分、軽音部辞めようかなって思ってるんすよね」

「――――――え?!」


お、すごい勢いで起き上がった。


「え?え!―――どうして辞めちゃうの?あんなに頑張ってたのに‥‥」

何を話してもカラ返事ばかりなのに、俺が軽音部辞めたいってところにはちゃんと反応してくれた。


・・・そこには反応するんだ

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