第23話

「佐竹さん、次の定例会のことなんですけど―――」


「しゅ~んくーん?ごめーん、おれノータッチだったけど、次のライブのパンフ作りって進んでる?」


「佐竹君、今年度の日程の確認しましたか?講義室でライブするなら4週間前に許可が必要になるので事務局まで届け出てくださいね」


「あー、瞬!前部長から伝言!今年度の予算みて同じように使わないと来年度の予算削られるらしいから、そこのところよろしくな」



副部長って、名前ばかりでただの雑用係だ・・・。


シンバルが割れて新しいものをネットで最安値で探したり、詳しい人に聞いたり。

その他アンプの故障、シールド破損などの修理で代理顧問に報告相談するのも全部俺だ。


いままでこれを誰がやっていたんだろう?



「基本顧問の人がやってくれてたけどね~。今は体調崩して休んでるからね~」


そうなんだ、だから俺にばかり仕事が回ってくる。

去年、先輩の世話をしているうちに、部活の流れがほかのやつより分かっていたからだ。


「でもタケっぽいね~。まあ、こうなることは何となく想像してたけどね」


ケラケラと笑う先輩。


「どこが俺っぽいんですか?」

「だって、そんな面倒なこと誰もやりたがらないのにさ、そうやって真面目に全部請け負っちゃうじゃん?」

「俺らの代で質を落とす訳にはいきませんから」

「ほらほら、そういうところ」


先輩はそう言いながらドラムスローンに座りながら微笑んでいた。


いつものように埃っぽい部室に来て、先輩と昼飯を食べながら談笑する。


こんな日々も、もうすぐ終わってしまうんだな。



「あれあれ?ごめんね、気に障った?ってか、落ち込んでる?――――あ、疲れてるのか、そうか」


俺はどんな顔して先輩を見ていたんだろうな?


先輩は一人で話してて、自己解決したようだった。



”この場所であなたと二人きりになっていた月日は、今までの人生でとても幸せでした”



伝えたけど口にすることのできない言葉。


貴方に直接伝える未来が俺にはあるのだろうか?

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