第15話

「斎藤先輩って工藤翔のこと好きなんすか?」


俺との関係が変化しそうもないし、何かのきっかけになればいいやぐらいの気持ちで聞いてみた。

この手の話を他人に聞かれるのは嫌だろうから、部室に二人きりのタイミングを作ったんだ。



「なっ!!!!―――――に言ってるの?!あんな馬鹿、冗談でしょう?」


あんな馬鹿って、知らねーし。

俺が工藤翔を知ってる前提で話されるのすごく嫌だ。



「そうですか?自分、この手の勘は外したことないんすけど」



その手の勘なんて一ミリもないけど、言ってみた。



「な、な、なんで、そう思う?理由を述べなさいよ」


「理由って――――。不自然にあの人にだけ話しかけないところです」


「―――――――確かに、でもそれだけで好きって事になるの?」


「間違いないですね。ほら、今だって目が泳いでますよ」



一生懸命に平常を装ってるけど、凄く焦っているのは誰にでも分かる。


確信をつかれているからなのか、奴のことになると平常心がなくなるのか。

どちらにしても気に入らないな。



「あんまり出さないようにしてたのに、悔しいな」


案外はっきりとそう認めたのは、俺がよそ者だからだろう。



二人の共通人物ではないのも相まってか、それからはタガが外れた様に奴との今までを話し始めた。

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