第13話
悔しいけど、これも現実。
先輩にとっては俺はただの後輩に過ぎない。
「お腹空いたって言うからー、何頼むのかなって思ってたのに、ポテトとアイスコーヒーだけ?」
そんな先輩も腹減ったって言ってたのに、持ち帰りのスイーツだけ。
食欲がなくなるくらいショックだったんだろうな。
「なんだかちょっと食う気が失せちゃって」
「本当?疲れたんじゃない?大丈夫?」
「―――大丈夫ですよ。先輩も持ち帰るだけなんですね」
「ああ、私は、あの、あれよ。おばあちゃんと食べようと思って」
「・・・そうですか」
彼女が祖母のことを慕っていることは普段の会話からよく分かる。
だから、俺にそういっておけば不審じゃないだろうって思ったんだろう。
俺には違う理由があって落ち込んでいるって分かってるのに、そう言われたらそれ以上ツッコんだ話はできない。
「じゃあ、また明日、部室でね~」
「はい、お疲れ様でした」
先輩が乗って行ったバスが角を曲がって見えなくなるまで見届けた。
今日のデート(自称)もあっけなく終わり。
工藤翔への恋は未だに冷めず、俺は言葉遣いがおかしい後輩のまま。
進展なし――――でも、俺は狐のお面を被ってるんだっけ?
そう思われていることが分かったくらいか。
別に、先輩と今すぐどうこうなる気はないけど、諦めの悪い先輩に歯がゆくなる。
好きなら告白すればいいのに。
小さいころから知り合った仲ではそういうの難しかったりするのかな?
まあ、そうだろうな。
俺だって自分を一ミリも意識されてない状態で告白する気にはなれない。
それならば今の関係を続けてでもって思うのは当たり前か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます