第10話

吉田先輩からは俺から皆に話しといてって言われた。

斎藤はどこか抜けてるし、携帯持ってないし、伝え忘れが最近多いからって。


んで俺は皆にはちゃんと伝えたけど、ワザと斎藤先輩にだけ教えなかった。


バレたらどうしようかと思ったけど、思い通りにことが進んでくれてよかった。


「でも、なんでタケはきたの?」


「音が聞こえたんで誰かいるなと思ったんですよ」


これはちょっと苦しいか?


俺の教室から玄関は近い。

だから、音なんて聞こえる訳がないけど


「そっか、延期のこと知らない人がいるってことになるもんね」



斎藤先輩は深くツッコんでこなかった。


普段なら気づきそうなものだけど、さっきの安西の言葉が気にかかったままなんだろうな。



「やー、吉田のせいでさー!バス見逃しちゃったよ。こうなったら市外線があるターミナルまで歩かなきゃいけないんだよな~」


「俺、今日も自転車で来てるんで良かったら送りますよ?」


「本当?ありがとう!またお願いね!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る