第9話

「かける~~~!!――――あれ、いない?」



先輩と二人きりの空間だったのに、邪魔がはいってきた。


しかも、この部に関係のないやつ。


一個上の安西って男で、俺が大嫌いな工藤くどう かけるの仲良い連れの一人だ。



「あいつ、とっくの昔に退部してもういないよ」


「あ、マジで?そうなの?知らんかった。だからか~、部活サボって女のケツばっか追いかけて~って思ってたのに、辞めてたのか」


「そうなのさ、まあ、サボりがちではあったよね。入ってすぐに来なくなったし」



先輩、一瞬だけ表情を崩したけど安西は何も気がついてないみたいだ。



俺が工藤翔を嫌いな訳はそういう事だ。


斎藤先輩は奴のことが好き。


一生懸命に隠してるけど、俺はいつも奴を目で追ってる先輩を何度も見ている。



「タケ?どうしたの?」

「何がですか?」

「なんか様子が変っていうか、更に狐のお面をかぶってるみたいな」

「狐?」

「あ、ごめん。思わず話しちゃった。でも最初に言ったの私じゃないからね」


どうやら俺は狐の面みたいな表情をしているらしい。



「みんな遅いな~。定例会の話するって言ってたのに」


「それ、明日に変更になったみたいですよ。吉田先輩から聞いてませんでしたか?」


「え、聞いてない!あんのよしだのやろ~、クラス隣なんだから教えろやな~」

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