進展なしの関係
第5話
明高には一応バスケ部はあったけど、入部はしなかった。
キャプテンや顧問から熱烈な誘いは受けていたけどね。
俺のバスケ熱は推薦を断った時から冷めたんだと思う。
それに、申し訳ないけどどうもやる気が起きなかった。
それよりもやりたいことを見つけたんだ。
やりたい事・・・・ってより、人に惹かれたっていうか。
今まで経験したことなかったけど、これが恋ってやつなんだろう。
好きに理由は要らないって言うけど、本当にその通り。
地区予選で初戦敗退してしまうバスケ部に入るより全然こっちの方がいいと思えたんだ。
放課後、皆がそれぞれの行き先に向けて足を運ぶ。
バスケ部は弱小だけど、吹奏学部はそこそこ実績がある強豪校になる明光高校。
その他にテニスや写真部や美術部などなど、それなりに部活はあるが俺が所属している部は少し皆に敬遠されていた。
まず、部室の場所からおかしい。
ほとんどの部室が玄関の向こう側の学部棟にあるにも関わらず、うちの部は普段足を踏み入れることもない離れの学部棟。
あちこちに蜘蛛の巣がはっていたり、掃除業者も入らないようなところだ。
俺はその部室があるひと気のない方へと迷わず足を進める。
部室に向かうほど人が居なくなって静かなはずなのに、ドンドンと打楽器の音が廊下に響いてきた。
やっぱり、一番先に来ているのであろう人の面影を思い浮かべて気持ちが弾んできた。
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