第3話
理由はいくつかあるけど一番大きな原因は一花だということにしておこう。
俺の栄転に対し自分より両親の関心が俺に向くのが嫌らしい。
いままで空気のように扱ってきた兄を凄い形相で睨んでくるようになった妹。
何も努力しないやつで同情の余地はないけど、そんな妹に遠慮した。―――というか、わざわざ恨みを買うのもな。
前から思っていたが、一花は少し変だと思うんだ。
悔し紛れでも何でもなく、本当に病院や精神科に連れて行った方がいいと思う。
まあ、両親がそれを認めていないからどうすることもできないんだけど。
今までおれに関心のない両親も、親戚や近所の奴らに自慢してしまった手前、何としてでも赴任先へと連れて行こうとしていた。
しかも、市内で最低ランクの高校に受けようとしていたから尚更だろう。
「明高の方がバス代もかからないし、秋になったらそっちに行くって。それまでの腰掛けみたいなものなんだからわざわざ金かけなくてもいいじゃん」
推薦話は断ってしまったし、そのまま明高に居座る気満々だったけど、そんなことを言ってみた。
そうしたら素直に納得したのか即了承。
こんな話に騙されている時点で両親は俺に関する手続きを怠っていたツケがまわってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます