第3話

理由はいくつかあるけど一番大きな原因は一花だということにしておこう。



俺の栄転に対し自分より両親の関心が俺に向くのが嫌らしい。


いままで空気のように扱ってきた兄を凄い形相で睨んでくるようになった妹。


何も努力しないやつで同情の余地はないけど、そんな妹に遠慮した。―――というか、わざわざ恨みを買うのもな。


前から思っていたが、一花は少し変だと思うんだ。


悔し紛れでも何でもなく、本当に病院や精神科に連れて行った方がいいと思う。



まあ、両親がそれを認めていないからどうすることもできないんだけど。


今までおれに関心のない両親も、親戚や近所の奴らに自慢してしまった手前、何としてでも赴任先へと連れて行こうとしていた。


しかも、市内で最低ランクの高校に受けようとしていたから尚更だろう。



「明高の方がバス代もかからないし、秋になったらそっちに行くって。それまでの腰掛けみたいなものなんだからわざわざ金かけなくてもいいじゃん」


推薦話は断ってしまったし、そのまま明高に居座る気満々だったけど、そんなことを言ってみた。

そうしたら素直に納得したのか即了承。


こんな話に騙されている時点で両親は俺に関する手続きを怠っていたツケがまわってきた。

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