第2話

俺には全く関心のない両親。

ちやほやされて大事にされるのは妹だけ。



俺の生後100日の記念写真は着物を着た祖母とだけ、妹の時は一家そろって映っている。

俺はおまけのように少しだけよそ行きの服を着せられ、無表情で父の前に立っていた。


そんなことの連続で、俺は幼いころから何度も同じような光景を見ていた。


両親は妹の一花に夢中で俺には関心がない。


彼女の教育にかける金額も俺の倍以上だ。

学習塾やピアノ教室にバレエ教室などなど…。

妹の習い事は新旧合わせるととてつもない数になるが、今や中一になった彼女に身についたといえるものは何一つ残っていない。


一方俺の方は唯一やらせてくれたのはバスケ少年団一本。


それさえも両親はグチグチと文句を言われたが、親戚が集まってる席でねだったものだからNOとは言えなかったんだろう。


まあ、そんな事も計算に入れてたんだけどね。



のらりくらりと奴らの幸せオーラの攻撃から逃げてきたが、限界を感じた俺は初めて両親に口答えをした。


「旭川には行かない」


親父の転勤が旭川に決り、俺もそれについていくことになっていた。


道内では強豪校のひとつである朝日実業への推薦も決まっており、何も問題はなかったはずだった。


両親は珍しく俺のことを自慢していて鼻を高くしていた。


それが気にくわない訳ではなかったんだけど、俺は勝手にその推薦を断ったんだ。

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