記憶の始まり
第1話
「一花ちゃんはいい子でちゅね~、お~何度見ても可愛いなあ」
「いっちゃん、ピアノ発表会の可愛いドレス出来たから今日はこれ着て写真撮りましょうね~」
「うわーい!カワイイ!ねえねえ!これ着てお出かけしたい!三人でどこかに行こうよ~」
「いいけど、食事はダメよ?お洋服が汚れちゃうもの」
「えー、やだやだ、行きたい!いこーよパパ、ママ!」
「いいじゃないか、汚れたらクリーニングに出せばいい。洗濯のプロなんだからどんな汚れでも落としてくれるさ」
「もう、あなたったら…しょうがないわね、じゃあその前に何枚か写真撮るわよ?」
「おい、瞬。行ってくるからな」
俺はそんな会話を頭の隅で聴きながら返事もせずにテレビに集中していた。
好きなバスケのアニメ。
画面の中では凄い事ばかりが連続で起るが、現実にはそんなことはないって幼心に分かっていた。
だって、ほら。
現実の世界を嫌というほど思い知らされて育ってきたから。
俺の記憶の始まりは両親に愛される妹を遠巻きに見ているところから始まっているんだ。
疑問に思うことはあっても答えはくれない。
こんな光景が当たり前だった。
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