第8話

春の陽気が終わり、霧雨っぽくなる季節になる五月のある日。


芳江は花まつりの手伝いをするため、寺の中にある台所に入っていた。


毎年この時期になれば、七五三を迎える子供たちを集めて衣装を着させて村を練り歩く行事があるのだ。

女たちはその子らを着替えさせたり、白飯を焚いたり、団子や羊羹を作ったりと大忙しの一日なのだ。


これが終わって暫くしたら、夏昆布の採取が本格化する。


七五三といえば秋の時期だが、ここら辺の地域では昆布漁で年末まで何かと忙しくなってしまう家庭が多いため、春のこの時期に子の祝いを先に済ませる習わしが昔からあったのだ。


寺の台所で延々と団子を蒸かしている芳江だったが、だんだんと気分が悪くなっていた。


蒸籠の蓋を持ちあげるたびに巻き上がる湯気。

その蒸された団子の匂いがどうにも嫌でたまらないのだ。

ついには吐きそうになり、口を押えてせき込んでいた。


「あんたそれ、子ができたんでないの?」

「——————え?」

「この匂いが気持ち悪いんだべ?———白米が炊き上がった時も気持ち悪くないかい?」

「————確かにそうです」

「あらら!めでたいっしょ!炊いたご飯で吐きそうになるなら大方間違いがないわ」


台所は一気に騒ぎになった。そばに居た青年団もその話を聞きつけ正一を呼びつける。

正一はその話を聞くなり、飛ぶように台所まで走ってきた。



「芳江!子供ができたって本当が?!」

「まだ分からないけど、みんながそうじゃないかって」

「ほんとがぁ!やあ!でかしたな!!よぐやった!!」

「ちょっと、まだ分からないって」

「いや、ここの姉さんたちの勘が外れたことねえんだ!間違いねえわ!」


正一は芳江を抱き上げて喜んだ。芳江もそんな子供じみた事をされて恥ずかしい気持ちもあったが正一に笑顔を向ける。

そんな微笑ましい光景に、周りの人達は祝福するように手を叩いてひやかしていた。



その年の花祭りは芳江の妊娠が分かったこともあって、いつもよりも盛大になった。

本当ならば夕方に解散になるはずだったが、寺の大広間を借りて予定にないはずの飲み会にまで発展する始末。


それほどまでに二人は皆に好かれ慕われていたのだ。


「なんだ、まだ終わんねぇだべか?」



正則は守也だけ寺から帰って来たのを不思議に思い、帰ってから茶の間で寝転がってばかりいる守也に聞いていた。


もう夕日も沈みそうな時間帯なのに、まだ終わっていないのはおかしい。



「姉さんに子供が出来たらしい」

「なに!本当が!」



正則の顔も晴れやかになる。

守也も表情を少しだけ明るくして話を続ける。


「もう寺で宴会状態よ。兄貴なんてベロベロに吞まされてる」

「ははは!そうが!んだら後で芳江さんば迎えにいがねーとな」


「ああ、おらはなんか疲れたし、もう寝るわ。————これ、土産の白飯と煮しめだ、嘉男と兄さんたちはあっちで宜しく食べてたから親父一人で食え」

「ああ。———お前食ったのが?」

「ん、食ったど。———なんか疲れたからもう寝るわ」

「・・・・おう、わがった。お疲れさんだったな」


孫ができたことは喜ばしいことだが、不器用な守也が不憫でならなかった。


『誰も知らない土地に行ってみたらどうだ?ここを離れることがお前にとっていいのかもしれん』

何度も言いかけた言葉だが、一度も言ってやることができない。


何より守也はそれでもここに居ることを望んでいる。

気丈に振舞って何でもないようにしながら心を強くしようとしている守也を、正則は黙って見守ることしかできなかった。












昆布が始まり家族が一団となって製品化に精を出す季節がやってきた。


その中で、工藤家は例年よりも苦戦していた。

人手が足りない上に芳江もつわりが酷く、浜に出れない日が続いたからだ。


突然訪れる不幸事などの緊急事態でもない限り、隣近所の人たちは他所の昆布作業を手伝うことはご法度とされている。


他人の家よりまず自分の家。

それでなければ、両家とも生産が落ちて共倒れになってしまう。


ここらではその教えが村民に染みついていた。


そんなこともあって遅くまで作業を続ける工藤家は自分たちで何とかしなければならない。

それ故に芳江の他の四人は一日を全力で切り抜けるしかないのだ。


それは芳江の心情にかなりの負担をかけることであった。

自分が身重な身体じゃなければと思えば、なおさら皆に申し訳なくなるのだ。


「お疲れ様でした。疲れたでしょう?お風呂湧いてます、ごはんも出来てますから」



芳江の言葉を聞いて各々風呂場や茶の間にへとちりじりに行動する男衆。

疲れ果てていて返事をする気力もなかった。



「芳江は大丈夫だったが?なんも、飯だけ焚いてくれれば、缶詰もあるしよ、無理しなくていいんだど?」

「ううん、これぐらいはしないと。それにだいぶ楽になってきたから、気分を変えるためにも明日から外に出て仕事します」

「そうか?無理すんなや」


そんな夫婦の会話を聞きながら、守也は黙々と飯をかき込んでいた。

風呂に入っていた正則と嘉男が帰ってくると今度は守也が風呂に行く。



「あれ、守也。飯食わねえのが?」

「食った」

「早えなもりにい」

「うん、またあした凪がいいから出るべ?風呂入って寝るわ。————姉さん、ご馳走さんな!」

「いいえ!お疲れ様でした」


守也はひらひらと手を振るだけで芳江の言葉に答えることなく、背中を向けながら離れの風呂場へと向かうため、土間続きになっている勝手口から出て行った。


外に出て、引き戸をぴしゃりと閉めたあと、そのまま立ち尽くしてため息を一つした。

先ほどの正一と芳江の会話を聞かないようにしていたが、どうしても耳に入ってくる。

彼女の夫である兄が羨ましくてしょうがなかったのだ。





「あいつがいるがら本当に助かるでゃ。守也には頭があがんねーわ」

みそ汁を啜りながら正一が言って、正則もそうだなと返事をしていた。

「んだな、兄ちゃんがいるから何とかなってるな」


同じような事を言っただけなのに、嘉男が大人ぶって言うとどこかおかしく、食卓が笑いに包まれる。

「なんで笑うのさ」

「お前も男になったの。母ちゃんを恋しがってた嘉男はもういねーんだな」

「—————べつに」


嘉男は母がいなくなった理由を家族に聞こうとしたが、誰も教えてはくれなかった。

だが、違う形で知る事になる。

なぜか事情を知っていた同級生たちの口から知らされることとなったのだ。


そこで初めて、自分を置いていった理由を知ったのである。


そこからは嘉男の中に母親を求める気持ちは無くなっていた。

それより、なんでも立派に出来る男に早くなりたいと、仕事に精を出すようになった。





正一が食事を済ませて一日の汗を流し寝床につくころ、やっと芳江は風呂に入る。


離れの風呂場は昔ながらの薪で沸かす五右衛門風呂であった。

便所と兼用されており、入ってすぐ正面に男用の小便器があり、右手の個室に和式便所がある。

風呂場は左側のドアを開ければすぐに湯舟があるのだが、着替える場所などなく入口そばの簀の子の僅かな隙間が脱衣所として使われていた。


この地域の夏は日中暑くとも夜はひんやりと肌寒い。

ゆっくりと浸かりたいが、だいぶお湯は冷えているので湯冷めをして風邪をひきでもしたら大変だ。


最近では体質が変わったのか、長く湯舟に浸かっていると気持ちが悪くなることもあるので早目に上がることにした。


風呂場の戸を開けると人影が見えて芳江は慌てた。

「————きゃあ!」

「ああ!なんじゃ?もう上がるのか?すまんの!!」守也の声だった。


芳江は体を隠しながら慌てて湯舟へと逃げる。

守也は守也で用を足そうと、その体制に入り引っ込みがつかない状態であった。


「すまんすまん、姉さん、いつもは風呂が長いから大丈夫かと思ったわ」

「—————あまり長いと気持ち悪くなってしまって」

「そうか・・・もうちょっと待っててな」


守也の用を足すまで、二人には変な空気が流れる。


小便の音が聞こえてしまうのではないかと恥ずかしくなる守也の焦りが伝わるように、芳江はわざと水音をたててその音が聞こえないようにした。


「悪い悪い、妊娠したら身体が変わるっていうもな。今度から気をつけるから許してげれ」

「————こっちも気をつけるわ」





「なんか騒がしがったな?」

「ええ、ちょっと。鉢合わせになってしまって」

「誰と?」

「守也君とです」

「————守也と?あいつ、寝たんでないのが?」

「————催して起きたのではないですか?」

「そうがな?一回寝ればテコでも起ぎねえのに、珍しいこともあんだな」

「———疲れていて眠りが浅いのではないですか?」


「ああ、んだがも知れねぇな、俺も眠りが浅くてよ、現実が夢が分かんねー時あるわ。夢の中で昆布採ってんだ、んとにイヤになるでや」

「フフフ、私もです。夢の中で昆布干している時あります。せっかく寝ているのに損した気になりますよね?」



一つの戸を挟み微笑ましい夫婦の会話が聞こえていた守也は、物音たてずに昆布納屋へと一人で向かう。


「———よしえ・・よしえ・・・」


偶然にも見てしまった芳江の裸体が頭から離れなかった。


自分の昂ぶりを鎮めるため、暗い納屋の中で守也は一人で自分を慰める。




彼女とあんな穏やかな会話を一日の終わりにする相手が兄ではなく自分だったら。



そう思えば寂しくやりきれなくなる。

小さく呻き声をたてて果てても心は満たされることはない。

虚しく心に穴が開くだけであった。



そんな守也をただ一つ、小さな窓から月だけが見ていた。










その年の昆布は豊漁だった。

そうして、これまた運もよく、雨の日が少ない年でもあった。


雨や霧雨が少ないということは、昆布をよく乾燥させることが出来るということだ。

保存期間がグンと伸び、製品化できる昆布が増えて出荷量も増える。


一度、カラカラに乾燥さえしてしまえば、アオカビなどの心配もなくなり、ゆっくりと等級分け作業ができる。


晴れの日が少ないと、昆布から塩カビやアオカビが生え、異臭が放たれ始める。

そうなれば土の中に埋めて捨てなければならない。


採っても採ってもそんなことばかり続くと、やりきれない気持ちになるが、この夏は稀に見る晴天続きであった。



「工藤んところの赤ん坊は神様でねえのが?」

「んだ、晴れやかな神様だでや」


ジリジリと熱を帯びる真夏の沖では、そんな冗談を言って男たちは笑っていた。


「いがったべよ、正一!雪路みたいな辛気臭せー嫁っこよりも、芳江さんの方がカラカラ笑って気持ちいーじゃ!」

「ああ、んだ!いっつもムスッとして笑わね―女より!いがったとオラも思うど?!」


芳江のいない沖ではそんな会話も交わされる。

その度に正一は元許嫁だった雪路のことが気になっていた。


人と馴れ合う事が苦手で、一人の世界に身を置こうとする彼女は、自分がいなくても大丈夫なのだろうかと。



また孤立して一人きりになってやしないか?

嫁ぎ先の若海松の奴らは競争心が高く、隣近所でもあまり馴れ合わないと聞く。


そんな中で人見知りの雪路は上手くやっているのか?

また一人きりの夜に、泣いてはいないだろうか?



幸せになればなるほど、どこか罪悪感に駆られてしまう正一は、段々と自分が置かれている状況を素直に喜べない気持ちがどこかにあった。



雪路を幸せに出来なかった自分が、今ある幸せを認めていいのかと。



そう考えれば自分が情けなく、不甲斐ない過去まで思い出してしまうのだ。

どうしようもなかった10代の半ば、自分にできることは何もなかった、と。




丘に戻り芳江の笑顔を見ればそんなことが吹き飛んでしまうのだけれど、沖に出れば雪路とよく逢引していた小島が目に入る。



そうすれば嫌でも彼女が嫁いでいく前の出来事を思い出してしまうのだ。



「本当ならば私は貴方の『許婚』でしたのに、こんなのってないわ」

「仕方ないだろう。うちはもう、一文無しの貧乏一家なんだ」

「私は、それでもいいの。あなたの側に居たい」



あの頃は引揚者の救済長屋を出て間もなかった。

船もなく、今よりも原形のとどめない原始的な家が一軒あるだけ。



父親はうまくいかない現実から目を反らすように酒を浴びるように呑みだし、母親は惨めな生活に嘆いていた。

正一はまだ16と若く、隣村の網元で働くものの、先輩漁師から指南料としてその日貰える金を不当にピンハネされる日々。


そんな状況を見かねた雪路の父親は、雪路の嫁ぎ先を違うところへと変えてしまった。

”貧乏同士じゃあどうもならんべよ”

そう言って十三年前の秋、雪路は新たな嫁ぎ先に送られてしまったのだ。


島にいる頃は、これからどんなことがあろうとも、両家の意思に違いはない。

そう言って結納まで済ませていたのにその絆は脆くも崩れ去っってしまったのだ。



もし今だったら、贅沢は出来なくとも、問題なく迎い入れることが出来たのに。

母と娘のように仲が良かった民子と雪路。


民子も雪路が嫁に来ていたら、あんなことにはならなっかっただろう。


彼女は今でも自分に想いを寄せて、深い悲しみに暮れているかもしれない。

そんな雪路を勝手に想像する正一であったが、もし本当にそうならばと思えば胸が痛む。


そうして芳江との幸せを感じるたびに、幸せに出来なかった存在を思い出し、影を落とすのだ。



沖合から見える小島は消えてはくれない。

夏場の間、正一は何度もその島を目にしなければならない。


自分にしか見せない雪路の微笑み。


哀れな男は沖に行ってその思い出の小島を見るたび、彼女の微笑みを胸に蘇らせていた。



『正しょうちゃん見て?貴方との子がこんなに大きくなったわ』


『ほんとだな、ゆきちゃん。おら達だじの子が、こんなに雪ちゃんの腹を膨らませたんだ。立派な子だ。こりゃあ楽しみだわい』


『本当ね、きっとこの子は幸せになるわ。だって正ちゃんと私の子だもの』


『そうだな、間違いねぇわ。なあ?雪ちゃん?』


『うん?』





「————・・・雪ちゃん・・・おら幸せ・・だ・・」


芳江は朝方になって自分に抱きついてきた正一に微笑んでいたが、寝ぼけて言ったであろう言葉に気持ちがいっきに醒めていく。


今まで悲しそうにその名を呟くことはあっても、嬉しそうに呟くことなどなかったのに。



「おらと・・・雪ちゃんの――――こ・・ども・・」



あろうことか膨らんできたお腹の子は、どうやら彼の夢の中では『ゆきちゃん』との子になっているらしい。

芳江は自分の腹にまわっている手をどかせて起き上がる。


涙をこらえてそれからも何かを呟きそうな正一をゆすり起こした。



「—————あ、なんだ、朝か?」


「はい、起きましたか?」


「ああ――――」


「正一さん、今日は珍しく雨だわね」


「ああ・・・本当だな」


「————朝の支度、しますね」


「・・・うん。———なあ?」


「なんですか?」


「あんた、最近また敬語に戻ってねーが?」


「————そう?」


「うん、なんか、冷たい言い方に戻ってる。それにおらのこと、”正(しょう)”って呼んでくれなくなったな」


「————聞かれると、恥ずかしいから。それだけですよ」


「———そうが、それだけか」




夏の雨はそれから三日三晩降り注いだ。


まるで芳江の悲しみを代弁しているかのように激しく大粒の雨を降らせるのだった。


芳江にとっては悲しく見える雨も、日照り続きで体がしんどかった男たちには心安らぐものになる。



ざあざあと薄いガラスに打ち付ける雨音を聞きながら、ランプが照らす光のもと、昆布の選別をしながら木箱に詰めていく作業に四人は没頭していた。

「ああいい音だ、やっとこ雨降ったな」

「んだ、しばらく沖休みだ」


乾燥した昆布に囲まれて気分も晴れやかになる。


いくら雨が降ろうと腐る昆布がないということは、心に大きな余裕を持たせるようだ。



「嘉男も元気に学校行ったでや。”いってきまーす!”って。隣まで聞えてたべな」

「ああ、でっけ―声だったもな」



昆布倉庫の中で会話を交わすのは守也と正則だけ。

芳江と正一は黙々と作業を続けていた。




その様子にまた何かあったなと勘ぐる二人は、何気ない会話を続けていた。

二人に話をふれば返事はあるものの、また貝のように口を閉じる。




正一は芳江がどうして落ち込んでいるか分からなかった。

雨が降るまでカラカラと幸せそうに笑っていたのに・・・



気持ちと天気が機械のように連動するのだろうかと考えてしまう。

少なくても自分に非はないと思ってるが、芳江は悲しそうな顔をするばかりで元気がなかった。


「————よいしょ・・」



芳江の呟きに守也が腰をあげる。

でも、それより先に正一が駆けつけて木箱を持ち上げていた。


「・・・ありがとうございます」

「ん、ほれ」



彼女が立ち上がらなくてもいいように、選別前の昆布を置いてまた持ち場に戻って行く正一。

その背中を無意識に目で追ってしまう芳江。


妊婦の妻を労わってくれて嬉しいはずなのに、心の中はさらに悲しくなっていく。


こんなにも優しくしてくれるのに、どうして正一さんは夢の中でユキジを求めるのだろう?


気持ちの奥深く、求める存在に勝てる気がしない。


本当は私なんかよりもユキジがいたほうが幸せだったのではないか?



そんな考えが芳江を悲しませていた。



それでも芳江は正一と離れる事は出来ない。

お腹には彼の子がいて、仮にでも妻として愛してくれるのだから。






「明日からまた出る(出漁する)かもな」

「そうですね、夜になってすっかり晴れました」



三日間降り続いた雨が止み、久々に晴れた月夜の晩。

やっと芳江が正一に笑いかける。


どこか寂し気な笑顔だったが、それでも正一は嬉しかった。

やはり、妊婦になった芳江の内面は天気と連動するのだ。


そんなことを考えては自分の思考が馬鹿らしくなって正一はゴロンと布団に横になった。

同じく横になった妻のお腹を撫でた。



「大きくなったなぁ、身体辛いべ?芳江」

「…いいえ、嬉しいです。あなたとの子がここに居るのですから」

「————そうだな」

「この子はきっと幸せになるわ。だって私と正一さんの子ですもの」

「・・うん。そんだな」




夢で見た時と同じ言葉。

もしかして夢の中でユキジと会話していたのではなく、夢うつつの中で芳江と話してたのではなかろうか?


そうなれば、今でも雪路を心の中だけで想っているとバレているのでは?と、一瞬だけ不安になったが、手を重ねてきた芳江の行動に安堵する。

そんな偶然はあるわけもないかと気を落ち着かせていた。

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