第二十九話『激闘後の余韻』

──俺達は無事討伐士試験を合格した。

討伐士試験を終えた俺達は、自室に返さた。


「ここのホテルももう今日で終わりなのか。また個人的に泊まりに来たいけど、金がなぁ。」


「だよなぁ、此処って最高の居心地だし、本拠地にしたいくらいだぜ。」


翔也と2人で話をしながら寛いでいると

なにやらドア前で気配を感じた。


「───しょーうーやー?」


明らかに伊織の声だった。


「ひ、ひぃ!!来たよ来た、助けて親友!」


と言われるかと思い、すぐさまドアを開けて彼女を迎え入れた。


「ささ、どうぞどうぞ、彼なら中に。」


「テメェ何してんだゴラァァァ!!何開けてんだよバカかよ!!親友である俺を裏切りやがったなこの野郎!!!」


「それとこれとは別、これは翔也が起こしたことなんだから、自分で落とし前つけろ。」


「うぉっ!!!まてまて、俺はただ少しからかいたかっただけで……。」


「そんな言い訳通用すると思ってんのか?あ?今回は何とか生き残ったからいいけど、ロボットよりお前をぶっ倒したくて仕方なかったわ。」


手をボキボキ鳴らしながら、馬乗りになった。

遠くから見てる第三者がいたとしたら、明らかに営みに見えるのだが。

俺から見れば、明らかに止めなきゃいけないと思った。


「あーはいはい、そこまで。」


「ふぅ……助かったぁ。」


「じゃあ、オマエはアシタコロス。」


「そうしてくれ。」


「おい!!そこ止めろよ!!!」


「だってオレ関係ねえもん。家知らねえし。」


「あ、そうだ。お前らVINE交換しね!?」


「VINE!?何それ。LINEじゃねえの?」


vineって、昔終わった7秒動画サイトかよ。

と心の中でツッコミを入れたが、どうやらLINEと同じようなチャットサービスらしい。


「そうだな、なんかあったら連絡出来るし。」


「うちもうちも!」


時代が最先端になっても、根本は変わってないらしい。

そう思いながら、連絡先を交換した。

ちなみに、携帯は師匠から渡された。

これは恐らく昔でいうところのAndroid携帯だったが、びっくりするほど使いやすかった。


「よし、じゃあこれからなにしよ────」


話を遮るように、館内放送が鳴った。


ピーンポーンパーンポーン───


「第三次試験を通過した10名の皆様。お疲れ様でした。これからの流れを、アナウンスにてご説明させていただきます。」

「まず明日は、最終試験があります。これは第一次試験前にご説明しましたが、上位10名様の順位決めとなります。」

「───ですが、第三次試験で戦闘型ロボットを壊した3名の方、川崎琴葉様、小柳深海様、桜木翔也様は、最終試験免除となります。」


「マジか!!」「壊しといて良かったな。」


「免除の方は明日ホテルでの待機となりますので予めご了承ください。その他の方に通達します。最終試験の内容はシンプル、"木刀での模擬戦" もう何度も経験してると思いますが、今回は1vs1での戦いとなります。」

「試合内容や勝ち数に応じて判断し、順位分けをさせていただきます。そして最後にもうひとつ、ただいま皆様の携帯に、"討伐士だけが使用を許されたアプリ" を送信致しますので、予めご確認くださいませ。」


「では、明日に備えてゆっくりお休み下さいませ。失礼いたしました。」


「模擬戦か、これまで大人数の模擬戦と、ロボットとの模擬戦はやったが、次は順位分けの対面模擬戦とは。よく出来てるねぇ。」


「──うぉ!すげぇよ深海!このアプリ俺のプロフィールとか、順位とか、依頼内容とか表示できる!!」


「ほんとだ、オレの順位、2位になってる。」


「俺は3位か、でも俺はお前に助けられたし、2位に上げてくれとは言えねえよな。」


「───またうちは戦わなきゃ行けないのかぁぁぁ!!!」


「うお、びっくりした。」

「どうしたそんな大声出して。」


「お前たちはいいよな??あの時友情パワーでロボットぶっ壊して、免除になってるんだから。うちなんて明日も試験ですわ!!また模擬戦やらなきゃ行けないんですわ!!」


「な、なんだその喋り方。」


「はぁーあ、鬱鬱。」


「まぁまぁ、順位決めだけだし、そんなに気張らなくていいんじゃねえの?」


肩をポンポンと叩く翔也。

根は優しいやつなのは知ってるが、ふざける時にとことんふざける。

友達に1人は欲しいタイプだな。


「まぁ、気長にやってきますよ。」


「おう!応援してるぜ。」


二人の会話を微笑ましく見ていたら。

後ろから───


「深海くん。少し付き合って貰えますか。」


後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「琴葉?なんでここに。」


「貴方たち、ドア開けながら話してますし。丸聞こえですわよ。…それと、下の名前で呼ばないでください。」


「付き合うって、何すりゃいいんだ?」


「──筋トレルームに場所を移しましょう。極秘なお話があるんですの。」


息を飲んだ。彼女が真剣だったからだ。

俺はその彼女の問いかけに了承した。

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