第二十一話『芽生えた友情』
──うわあ、すげえ豪華なホテルだ!!!
"最上階ホテル" という響きだけで高級感漂っていたのだが、蓋を開けてみると一人一部屋!廊下が広い!共同スペースにマッサージチェア!温泉露天風呂!ルームサービスタダ!こんなに最高の場所があるのか…
「流石にこれはすげえな…」
「な!テンション上がるぜぇ!!ここ三日間しか居れねえのかよ!!」
「皆さん、本日はお疲れさまでした。第一次試験突破、おめでとうございます。」
「おいおい、美人の姉ちゃんつきかよ!わくわくするな!」
「…あんまでかい声で言うなよ…」
耳打ちしてきた。だが素の声がでかい。
恐らくこの人は監視役といったところだろうな。
女性の方が、女性に何か問題があっても対処しやすいし。
「では、部屋の鍵をお渡ししますので、名前を呼ばれた人からこちらにお越しください。」
75人分の部屋の鍵が渡され、各自部屋に移動した。
俺は、何も準備してなかったので、取り敢えずベッドに横になった。
「―――ひとまず、第一次は通過っと。…あ、師匠に電話しよ。」
「…あ、師匠!俺です、深海です!」
「おお、深海か、全然連絡よこさないから心配したわい、それでどうじゃった、第一次試験は。」
「無事、通過しました。今はホテルで休んでます。」
「そうか、帰ってこないのか。おめでとう。よく頑張ったな。」
「ありがとうございます。…それで、愛菜の様子は、どうですか?」
「…まだ寝ておるな。呼吸も安定しておるから大丈夫じゃとは思うが。」
「…そうですか。安定してるなら、良かったです。」
「お主はとりあえず体を休めて、次の二次試験に備えろ。」
「はい、師匠。」
「二次試験だとおそらく30人くらいまで絞られるはずじゃ。自分を信じて突き進めよ。」
「分かりました。心に留めてあります。」
電話が切れた。と同時にピンポンがなった。
─────よっす!遊びに来たぜ!
騒がしい、というか疲れがないのか。
と思うほどにうるさい。
「あぁ、来たのか本当に。」
「当然だろ!麻雀やろうぜ麻雀!!」
取り敢えず部屋にいれた、部屋に入った彼はすぐさま机の上に麻雀を置き、座って。
「ほら、早くやろうぜ!」
「へいへい、分かったよ。言っとくけど、本当にルール知らないからな。」
そして目の前に座り、ルールを教えて貰いながら付き合っていた。
─────気付けば、数時間経過していた。
「はぁ、おもしれえ。」
「そうだな、意外と面白いな麻雀。……あ、悪い。俺喉乾いたからちょっと自販機行ってくるわ。」
「おう、OK。」
部屋から自動販売機まで、そんなに時間はかからない。
共同スペースのマッサージ機がある所に何個も置いてある。もちろん全て電子決済対応だ。
「そうだなあ、オレンジジュースにしようかな。───って!300円もすんのかよ!!ディズニー値段か?ここは。」
渋々買った、ため息が出た。
お釣りを取ろうとすると誤って落としてしまった。
「───あ、やべっ!」
必死に拾っていた。すると。
「───大丈夫ですか?」
ゆっくりと小銭を拾ってくれた。
凛としている女性だった。
「いえいえ、お気を付けてくださいね。…そういえばあなた、第一次試験で2位の成績を収めた方ですわよね?」
「えぇ、まぁ。そうですね。」
「貴方とは、何か縁を感じますわ。近いうちに、また会えると思いますので。お互い二次試験、頑張りましょうね。」
「は、はぁ。頑張りましょう。」
「ふふっ、それでは。」
「……何だったんだ?」
何か不思議なオーラを感じる女性だった。
でも今は何も考えず、部屋に戻った。
「おお、少し遅かったじゃねえか、何してたんだよ。」
「いや、小銭落としたら、女性が助けてくれて、それで少し話してた。」
「……あ?おいお前。───何抜け駆けしようとしてんだおいこらぁぁぁぁ!!!」
「はぁ!?そんなんじゃねえよ!!」
「うるっせぇ!!!お前!そいつ絶対可愛かっただろ!!ずっと喋りてえって思ったから喋ってたんだろ!!!」
「だから違ぇって!!なんかいきなり、縁を感じるとか何とかって言われて!!」
「それ遠回しのプロポーズじゃねぇかぁぁぁ!!許さねえ、ぜってえ許さねぇぞ小柳ぃぃぃ!!!」
「うぉぁ!人の部屋で走り回んじゃねぇって!!」
「待てコラァ!!俺に走りで勝てると思ってんのかァァァ!?」
「────ちょっと、騒がしいぞ。」
「あぁ、悪い、ちょっと騒がしかったな…って、」
「お前…………、」
───────誰?
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