第二章『討伐士認定試験』

第十七話『第52代任命式』

討伐士──────


始まりは、人々の平和を守るために作られた組織の事で、警察とは違い、剣や護身術、武道に近い技で犯罪者を更生させる組織の事。


騎士のようなガッチリした鎧に身を包む事はせず、隊服は比較的ゆったりだが統一され、皆同じ隊服を着るのが常識となっている。


今から100年くらい前に設立され、今は52代まで続いている。


『心を制するものは、己を制す。』


という心得を胸に刻み、討伐士を目指す戦士たちは、必死に鍛錬を積んでいる。

というのも、討伐士になれば、安定した生活が約束されているのだ。

それ故に生まれた子供を討伐士にしようと圧をかける親も少なくないという。


討伐士になれなかった子にも選択肢がある。

それが『治癒術師』と『機工術師』だ。

治癒術師は名の通り負傷した討伐士や盗賊を治療する専門の人たちのこと。

機工術師は、爆弾や罠、討伐に役立つような部品や武器を開発する人達のこと。

ただし銃の作成、使用は全て禁止されている


と、ここまでが大まかな今までの復習だ。




※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




──────これより、第52回 任命式を執り行わせて頂きます。


「司会は私、副団長マイケルが努めさせて頂きます。」

「それでは早速移らせていただきます。まず、新団長任命式。天皇陛下、前へお願い致します。」


「では、新団長。『神蔵 源治(かみくら げんじ)』前へ。」


「はっ!─────前を失礼致します。」


天皇陛下の前で腰を落とし、膝を着き敬礼の意を示す。


「───えー、神蔵 源治殿 。あなたを、第52代 討伐士団長に任命します。これからもこの国の治安と人々の安寧を更に守れる事に期待をし、この地位を与える。」


「新団長、一言お願い致します。」


「先ず、天皇陛下。本日この本当に名誉な地位を下さり、誠にありがとうございます。この地位に相応しい働きをしてみせます。そして討伐士。新しく団長になった、神蔵源治だ。俺がこれからこの討伐士を引っ張っていく。お前らは俺に、この国に。命を捧げる覚悟はあるかぁぁぁぁっ!!!!」


その瞬間、大歓声が巻き起こった。

完全に士気を上げるのが上手い。


「これからは、我々はひとつになり、この国を、この『東商』を守り抜かなければいけない。未だ極悪集団『香良洲』の居場所すら突き止められていない。だが我々なら絶対に、この極悪集団を突き止め、人々を安心させることができると信じている!!───以上。」


「団長、ありがとうございました。」


「続いて、討伐士として最も優秀な騎士TOP5を発表する。」



「─────最初に5位からだ。5位は …… アルグ・メイリイ。みんなに対して一言。」


「うーん、まぁこの第5位ってのは確かに凄いけど、まぁ正直ネ、ヨクワカラナイカラ、まぁ1個言いたいんだけど、私の彼氏に色目使ったら住所特定して〜末代まで呪うから♡♡」



「─────続いて4位、4位は …… 高野煌真(たかの こうま)。みんなに対して一言。」


「…………………… 。嬉しいです。これからも、適度に頑張ります。ハイ。」



「─────続いて3位、3位は …… 隘路陽真(あいろ あきまさ)。みんなに対して一言」


「みんな!!!俺今すげぇ嬉しいんだ!!ありがとう!!そして今、凄く隊服が邪魔だ!正直タンクトップにしたい!!これが終わったらすぐ筋トレだ筋トレ!!」



「─────続いて2位、2位は …… 折木竜馬(おれき りょうま)。みんなに対して一言。」


「ええっと、皆さん。僕がこんなに名誉な賞を貰っていいのか、少し不安ですけど。でもこの第2位という位を貰っても気を緩めず、色んな人間の手助けをしていきたいと思ってます。」



「─────そして第1位は、神蔵蓮(かみくら れん)。みんなに対して一言。」


「 お父様に続き、"討伐士" という、なれる事に対しても凄くハードルが高い職業のトップに立てたことはとても嬉しく思います。僕はこの国が好きです。なので僕の持てる全ての力を使って。皆さんの、そしてこの世界の平和を守って行きたいと思ってます。ありがとうございました。」



「───ではこれにて任命式を終わりにする。」


「任命式は終わりですが、少しお話してよろしいでしょうか。」


「許可する。第一位。」


「最近、世間を騒がせている "天道教" は、信仰宗教の中で最も悪質な存在です。そして僕の調べから、天道教の側近は、"合わせて7人" いると言われています。皆さんくれぐれもお気をつけ下さい。以上です。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る