第一章『基礎から学べ』
第九話『基礎体力と剣術』
───次の日になり、庭に呼び出された。
「深海、お前さんは根性はあるが体がまるでダメじゃ。精神を統一するには頑丈な体を作るところから始めねばならん。」
ごもっともだ。実際問題、中学高校と部活動に入ってなかったのもあり、完全に堕落した体になっている自覚はあった。
「分かりました。師匠。」
この頃から、爺さんのことを "師匠" と呼ぶ事にした。尊敬しているのもあるが、この人から様々ないろはを学び、自分が強くなるために必要な人間だからだ。
「先ずは基礎体力と筋力、そして武術を全て習得する必要がある。正直討伐士のトップになるなら、基本中の基本じゃ。先は長くなるかもしれんが、絶対に必要な事じゃ。」
「どこまでも着いて行きます。」
この日から、修行が始まった。
どんな修行でも嫌な顔ひとつせずこなす覚悟は、もうとっくのとうに出来ていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
──── 朝起きたらまずやることは『45分ランニング』だ。
未来とはいっても、人間の基本的な部分は変わっていない。朝にランニングをすることで、基礎代謝を良くするだけではなく、気持ちよく体力を向上させることが出来る。
ランニングから帰ってくると。朝ごはんが出来ている。一階の食卓で皆揃って食べる。
「──今日、肉じゃが作ってみたんだけどさ!結構美味しくできたんだよ!」
隣で喋る彼女を筆頭に、世間話を交わしながら、黙ってではなく、賑やかに食べる。
ちなみに愛菜は、おばあちゃんと一緒に家事や買い物に付き合ってくれているらしい。
俺が怪我した時の治療もしてくれている。
とは言っても、治癒術士ほどの力はないにしても、凄く助かっている。
朝ごはんが終わると、すぐさま筋力トレーニングが始まる。
日によって鍛える部位が変わっていて、足、腕、お腹、そして剣術。
剣術は、ある意味一番大事なスキルだ。
討伐士は盗賊の平穏を守るだけではなく、200年で変わってしまった地の捜索もするらしいのだが。
そこは危険が沢山で、もし今でも銃刀法違反など存在していたら生きている者全員がやられてしまうほどの恐ろしい奴もいるらしい。
だから討伐士と一部の盗賊にのみ。剣の使用が許されている。
ただし銃は禁止だ。機工術師のマニュアルにも、『銃は作成禁止』と書かれているほど。
そして師匠は、剣の使用が許されている。
何故だかは教えてくれなかったが、それのお陰で剣術を学べるいい環境だ。
「───今の攻撃が当たっていたら。お前は真っ二つだぞ。しっかり見ろ剣筋を。」
師匠は剣も最強レベルに使える。
この爺さんな何者なのか本当に分からないが、今はこの環境が1番合っていると、日々鍛錬をこなしている。
師匠は大体夕方くらいまではみっちり稽古をつけてくれる。それからは、眠いと言って毎回寝てしまう。
そこから晩御飯を食べたのち、自主トレをする。
器具を使わずにトレーニングをする。バーピーなどの有酸素運動もかかさずに。
自主トレが終わり次第、風呂に入って寝る。
この繰り返しだ。正直体が悲鳴をあげる時だってある、もう辛くて逃げ出したい。なんで俺がこんなこと、なんて思ったりもした。
その度に毎回、あずさちゃんの顔が思い浮かぶ。
頭の中で毎回『頑張る君は、素敵だぞッ☆』というあずさちゃんの決めゼリフが頭に浮かび、その度に闘志が燃える。
そんな生活が、三ヶ月ほど続いた。
俺は、日に日に身体も強くなり始め、
師匠を10回に1回のペースで追い込むこともできるようになってきた。
その時、師匠からある提案を受けた。
「────お前に、ある試練を出す。この試練に合格出来たら、ワシの全てを話そう。」
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