チーム陰陽師


アレから色々あった。私と芦屋さんは当事者だからと早乙女が駆け込まれた病院に向かうと、目を覚ました早乙女に同じ鬼人の早乙女ママが文字通り雷を落としてまた気絶しては病院の人達を慌てさせた。交番のお巡りさんは黒焦げに見え人間だと壊死してた大惨事だったけど、2人とも鬼人だったから、全治1ヶ月で治る火傷で済んだ事(鬼人のタフさには本当に驚かされる…)。


そして早乙女の教師と校長が早乙女の病室に来た際には、芦屋さんが睨み付け花人無しで鬼人が信仰を集める危険性や、本能を焦げた匂いで誤魔化されていた事に気付いてた事を指摘すると、萎縮して芦屋さんに向けて謝罪した。


「(え…もしかして、芦屋さんってかなり偉い人?)」

「その通り!」

「うわっ!?」


そんな事を考えていると、背後から女の人の声が聞こえて思わず振り返ると、そこには巫女服を着た女性が立っていた。


「えっ誰?」

「私?私は安倍晴子あべのはるこ、ご先祖様に安倍晴明を持つ半神の巫女さ」

「えっ!?」

「芦屋君が一族の虐待から国に保護されて、一族との縁切りを条件に特殊部隊に入ったって説明されたね?その特殊部隊が人肉を食べて怪物となった災害を鎮圧させる。超エリート部隊の一員の事なのさ!」

「えっ!?あの超エリート部隊!国のトップ直々に任務が来るって言われてますよね!?」

「そうとも、因みに芦屋君はご先祖様が陰陽師なのを共通とし、『チーム陰陽師』の一員として活動しているよ」

「へぇ~」

「阿部隊長、見ているだけじゃなかったのか?」

「阿部隊長…隊長!?」


隊長の言葉に阿部さんを二度見する。確かに安倍晴明を先祖とする半神なら、凄い人物なのかもしれない。でもこの人は女性だよね!?


「いや~本当は必要ないのに芦屋君が抱き付け何て、指示を出すのを見て更に興味が湧いてね…因みに私には双子の弟の明が居てね、本当は隊長の地位に居るべきなのに柄じゃないからと言って辞退しているから、仕方なく双子の姉である私が隊長の地位に納まっているのだよ」

「へ、へぇ~」

「…」

「そんな私達が動いたという事はそういう事だよ?幾ら焦がそうが誤魔化されようが何時しか限界が来る。人肉を食べなくとも早乙女君はあと一歩で初恋の人を焼き殺し、そのまま発狂して悪鬼に堕ちる可能性があった…そうなったら君達の学園は廃校処分を下されていたさ」


阿部さんがそう言うと校長と担任は頭を下げたまま、その場で土下座をした。


「この度は!本当に申し訳ございません!!」

「私からも深くお詫び申し上げます」

「次は無い、分かったら学園の風紀は生徒達の青春の言葉で片付けず、教師達の指導で正すべきだ」

「「はい!」」

「分かったら回れ右をして今すぐ取り掛かりたまへ」

「「はい!」」


病院内は走っちゃ駄目なのにそんな事が頭にないのか、足音を立てて校長と担任は病室を出て行く。


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